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和の國ファミリーのみなさま、こんにちは。
まだ、花曇りという言葉を名残で使ってよいものでしょうか・・・。

さて私ごとですが、かみさんと16日・月曜日から、2泊3日で石川県に出張してきました。
目的は、2つ。いや3つよつ。
メインは、士乎路(しおじ)紬の産地研修。それともう一つは、見分を広めることです。
良かったら、珍道中?ご一緒にお付き合いいただけませんか・・・。




★4月16日(月)
6時熊本県菊池市の自宅出発。植木インターより高速道路経由し、途中トイレ休憩なし福岡空港へ向かう。
8時15分福岡空港発ANAに乗り、9:25石川県小松空港に到着する。
荷物を預けていたので少々出るのが遅くなるが、そこには早朝京都を発たれた室町の加納織物・加納俊さんにお迎えいただく。

海辺を走ることが出来る「なぎさドライブWAY」を経由し、大伴家持が詠んだとされる石碑を見学する。
志乎路(しおじ)から 直(じき)超え来れば 羽咋(はくい)の海 朝なぎしたり 船梶(ふねかじ)もがも
「詠み人しらず」ならいいのですが、僕は、この士乎路という読み方を知らず、大伴家持が詠んだということで、元来歴史がある土地なのだと急に親近感が湧く。
(能登半島のことを、むかしから士乎路と呼ぶそうだ)

お蕎麦やさんで、少し早目のお昼を食べる。
オープンが11時。その10分前だったので、まさに手打ち中。
細身のオッチャンが、大きくカッコよく見えた。
もちろん、お蕎麦も言うことなし。石川県でなく、もっと側に店があればと思う。

士乎路紬の工房へ。
過日京都でお会いした智恵子さん、士乎路紬の創始者であり東京工業大学の故水島 繁三郎氏の息遣いを今に伝える…和田博夫さんなど皆さまでお迎え頂く。
工房見学もさせていただき、良い着物を作るための下準備「糸取り」の大切さに驚愕する。
お椀を開けたら、ほんわかカツオ風味がするのに、カツオが何処にも入っていない。その準備の大変さは当事者しかわからないという感じだ。

先人と先代の加納荘五郎社長が、二人三脚で取り組まれてきた紬。
今の形(質感)が完成して30余年だそうだ。
その後の糸づくりの改良の必要はなく、今もなおその技術をかたくなに守り続けられている。
人が物を作る。いや、物が人をつくっていくようなそんな気がした。

お見送りをしてもらいながら、近くの「能登上布会館」へと向かう。
丁度、定休日。
・・・ということは、「別に観る必要もないのかな」と、本日の宿泊先の和倉温泉まで、加納さんに送ってもらう。


日本一の宿・加賀屋の近くの宿に到着。
ザボンと天然温泉に入る。「このお湯飲めます」と書いてあるが、塩辛くて…飲めない。
温泉街の散策中、加賀屋へ。
玄関に入ると、「お帰りなさいませ」との声が。嬉しい気分がするが、これはどうやら、この店の接客スタイルかも。
館内のショッピングモールみたいなところに行くとごった返している。。。
さすが・・・有名旅館。

地元のスーパーで刺身を買い、海を見ながらお茶を片手に晩酌気分。
その後、近くの食事処で夕食をすます。
僕らの宿は、本日貸し切り。6畳一間だが、タバコの匂いがしないので寝るには十分だ。
昨年暮れにオープンした浴場「総湯」にもゆったりとつかる。
満天の空を眺めながら、大の字に寝て足湯タイムも。






★4月17日(火)
海沿いを散歩し、総湯の朝風呂へ。
予約していたレンタカーを借りて、朝から「輪島の朝市」目指しGOGO!
漆器ももちろん、干物・佃煮など、海の幸が並ぶ。
しかし、足を止めようものなら「こおて~(買って)」の声が・・・。ゆっくりウインドショッピングする間もない。
珠洲(すず)焼を取り扱っているお店は、すぐ近寄って話しかけられた。チョッと離れようと思って、店内に足を向けたら「入場料は無料だから・・・」と言われて、目が天になりそうだった。

もう一つの目当ての、骨董めぐりも開始。
市場の中に一軒あるが、何でも屋の雑貨店みたいな雰囲気。
そこで、真剣に¥45000の有田の蓋付き(5客)を求めようとされていたお客さんがいた。
店員さんが居なくなった時に、一瞬僕の価値観を言おうかと思ったが、熊本弁でいえば、「いらん世話だ」。

もう一軒離れにあったが、こちらも似たり寄ったりだ。
それから、もう一軒。割と雰囲気の良い店があったが、定休日らしく残念無念。
窓の外から、中を覗きこむと、古九谷がこっちを向いて微笑んでいる。吉田屋か???
覗きこむほど、良いものがあるようだ。
連絡先を書いてあったので、電話をしたら明日はOKとの事だ。

お昼も輪島で済ませ、車を能登半島最北端方面へと車を走らせ、まずは「南総美術館」へ。
途中、トイレ休憩の為、たまたま道の駅「千枚田」に立ち寄った。
ある農民夫婦が田植えを終わり、田の数を数えたら998枚しかないそうで「おかしいな、2枚足りない」と言いながら、帰る時に自分の蓑を取ったらそこにあった…という位、小さな可愛らしい田んぼが山の斜面に続いている。
これも日本の風土が生み出し、勤勉な日本人が作り上げた・・・究極の稲作文化と言えるようだ。

そして本日のメインでもある、「南総美術館」に着いた。
そこには、円山応挙の蒙虎図、野々村仁清の瓢型の水差しなど超一流品が出迎えてくれたが、その中でも、凛と佇んでいる長谷川等伯の文人画には、本当にうっとりさせられた。
場所が場所なので、日本でも穴場の美術館であろうが、自然と融合し、蔵を改装した美術館は、日本美の最高級のランク付けをしても良いのではなかろか・・・。

また、道中「輪島塩」「能登塩」などの制作工程を見学したり、道の駅に寄ったりして、本日の宿・能登九十九湾 百楽荘へ。
おごちそうは、この景色、絶景のお風呂、そして釣りだ。
早速、桟橋からの釣り。かみさんはさびき。僕は一本釣り。一本釣りなのに、一本も釣れず、釣れたのは、さびき釣りのアジコのみだが、その雰囲気が最高。
食事もまずまずだ。炭火焼には、サザエ・イカ等があるが、何故か串の和牛。それよりも、一夜干しの方が良かったと思いつつも、全てを望めば罰が当たる。
夜も温泉三昧だが、外は星の明かり位しかなく景色が見えないので明日を待つ。






★4月18日(水)
海と山を住処とし、自在に暮らす野鳥の鳴き声で目を覚ます。
6時前から、九十九湾の遊歩道を一時間以上かけて散策。
磯を歩くと、朝ごはんの佃煮に良さそうな「あおさ」などを発見。そのまま口にしてみると、昨日の温泉水のように塩っぱい。
海の色も段々鮮やかになり、外の空気も一段と美味しくなってくる。
手がかじかんでいたので、朝風呂も気持ちいい。

朝食後、チョッと釣り糸を垂らしてみるが、昨日と打って変わって魚の姿さえ見ることが出来ない。
もう一度ザブンとひと風呂浴び、旅館を後にし、もう一度輪島へ。
昨日空いてなかった骨董屋さんのリベンジだ。
しかし、実際に見てみるとググッとこない。
春慶塗の扇形をした楊枝入れ、木製品のマメ皿2、スプーンなどゲットする。
小額だが、これで能登の旅の思い出になると思うと、それだけで満足だ。

それから輪島の朝市にもう一度行く。
昨日は作務衣、そして今日は和服という変った格好をしてるので、顔を覚えられている。
「にーちゃん、昨日もみたけど、仕事何??」と言われながら、ササッと干物を求める。

一路、金沢市の「21世紀美術館」へ。
道中、千里浜の横を通る。
太陽が海に降り注ぎ、日本海がキラキラしている。
兼六園や、金沢城一帯の桜は丁度満開だ。

冬を越え、春を待ち、そして花開く桜・・・。
厳冬に耐え、生き抜き、そして身も心も開放的になり、春に花を咲かせる桜・・・。
その姿と、自分の希望の心を桜に重ね合わせているのではないだろうか。
桜は、僕たちの心に根づいている四季折折を愛でる日本文化そのものだ。


車中で、そんなことを思いながら、目指すは金沢の古美術店。
目出度く、一軒目を探せたので「骨董巡り」というマップを頂く。
5〜6件巡っても、気に入るのはほとんどない。
そんな中、古染の皿や馬の目皿など、前のめりになりそうなものはある。しかし、値段が合わない。
また、桶として使用していた銅の器を水差しに見立てたという逸品があったが、かみさんが胴の劣化の色がどうしても・・・ということでパスした。

かみさんは見るのに疲れたらしく、途中から車を降りないで、なび子ちゃんに徹する。
そんな中、大樋焼のお抹茶茶碗と出会う。
お値段も手頃で、即決だ。
結局水曜日定休日という店以外は、マップに載っている所を全部当たったが、収穫はお茶碗と輪島で買った小物のみ。
もうチョッと何やら買いたかったが、使えて、そして、お客様と美を共有できるものと出会ったので、満足だ。

午後6時前、ガソリンを満タンにし小松空港でレンタカーを降りた。
ゴォォォォォォーーー。ギ、キーーーン。金属音が鳴り響く。
有事発生かとびっくりしたが、自衛隊の戦闘機のお稽古中だそうだ。
安心したら、トップガンを思い出した。
一度乗ってみたい。

小松空港から、一路福岡空港へ。
その後、午後10時に自宅へ帰りついた。



・・・という感じの三日間でしたぁ~。
長々とお付き合いくださり、誠にありがとうございました。
きものサロン和の國 茨木國夫拝  
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