NCM_0466 (2)


NCM_0467 (1)


過日8月1日、東京での用を済ませ、朝から東北新幹線に乗り込む。
福島県を新幹線が通過する。
目に優しい緑緑の大自然が広がる。
複雑な心境だ。



お昼過ぎ仙台駅に着く。
レンタカーを借り、被災地の石巻に向かう。
噂には聞いていたものの、実際目にして、言葉が出ない。
言葉を失うとはこの事だ。

呆然と立ちすくむ。
写真をとっていいのだろうかと自問自答した。
倒壊した家、突き刺さった自動車などほとんどボランティアさん等の活動により撤収されていたものの、まだ手をつけられていない建物、元、家があった土台だけが残る。

人一人もいない。
想像を絶する高波をかぶった、松並木が枯れている。
かもめだろうか、鳥の鳴き声、波の音が聞こえる。
遠くに、ダンプカーの走る音がする。







NCM_0471


がれきの山だ。
大きなユンボが小さく見える。
異臭がする。








NCM_0469 (1)


がれきを覆っているのは、小学生の絵だろうか。
「取り戻そう、にぎわいの海」
やっと、希望の光が降りてきた。
その言葉に、心が熱くなった。







女川へと向かった。
「何も無いけど・・・」と地元の人がおっしゃっていた。
本当に何も無かった。
信号もない。

しかし、仮設のコンビニはあった。
青森県などのダンプカーが列をなして走る。
何も無いので写真に残すことも出来ない。
いや、何のために写真を撮っているのだろう。
自問自答した。

夜空は、とても綺麗だった。
はくちょう座がキラキラと輝いていた。
石巻では丁度、復興ののろしの花火大会の日だった。
しかし、僕は見る気になれなかった。








NCM_0486


8月2日、南三陸町に向かった。
尾根伝えに車を走らすゆえ緑に包まれているが、その町に降りていくとまた、津波をかぶり取り残された建物だけが目に入る。
また呆然と立ちすくむ。

車が一台止まった。
千葉県ナンバーだ。
呆然とたちすくまれている。
動かない。

自分自身の持っていない価値観や見たことも想像したこともない時には、言葉が出ない事を知った。
ふと、北島康介選手が、前回のオリンピックで金メダルの時「なにも言えねーー」という言葉が頭を横切った。
足元にあった、平べったい石を作務衣のポケットに入れた。







NCM_0485 (1)


交番も横倒しのままだ。
遠くでは、ゴーーーというユンボの音が聞こえる。
地の叫びのようにも聞こえた。







NCM_0490


NCM_0493


南三陸町の、仮説商店街を見つけた。
しかし、遠くには、塩害を受けて枯れた杉の木が目に入る。
床屋のおじさんが出てきた。
「言葉が出ない、何から話していいか未だに分からない。その出来事は信じられない」と言われた。

開店前なので、まだ店は何処も空いていない。
「写真の力を信じて」という看板が、目にドーーンと飛び込んできた。
頭がグルグルした。
どんな思いで、この言葉を掲げられたのだろう。

涙が、溢れてきた。
地面に、ポタリポタリと落ちた。
辺りを見回すが、その看板だけだ、頭に文字を入れてあったのは。



「写真の力を信じて」を、「着物の力を信じて」に置き換えてみた。
僕の歩んだ20年間は、まさに着物の力を信じて歩んできたことを始めて知った。
復興は、今始まったばかりだ。

僕は、着物の力を信じこの道を歩み続けることを、ここに誓った。
                                     茨木國夫 拝