和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。あっという間に袷の季節に突入しましたが、今年は熊本でも全国レベルのきものカレンダー(10月から袷)に従えそうで、ほっとしています。

とはいえ、まだまだ普段着レベルでは、木綿のひとえなどが快適な今日この頃。
熊本が誇る染織作家、堀絹子さんの木綿をお召しになった諸熊由美さまの、ステキなきもの姿をレポートさせていただきます。

由美さまは「日本女性の会 熊本県支部 支部長」というご立派なお立場の方であり、NPO法人きもの普及協会の会員でもいらっしゃいます。
由美さまと堀絹子さんの作品の出会いは、二年前に行われた第1回熊本ゆかりの染織作家展でした。私もその場におりましたので、よく覚えております。

半幅帯の結び方を確認するためにご来店された由美さまが、熊本ゆかり作品をひととおりご覧になっているときに、畳んであった堀さんの木綿作品を目に留められました。

その作品は、オフホワイト地に薄紫色と緑色の縞がさりげなく入った木綿織物でしたが、浮き織という、織り目にわずかな浮き部分があるために、さらりとした地風でありながらも手に取るとほんわかとした優しい感触がして、「実用ひと筋の木綿織物」とはどこか違う、上質さが漂っています。
和の國店主の國さんも「こんな凝った木綿の仕事をされるのは日本広しといえども、堀さんくらいでしょう」と、絶賛しています。

実際に羽織ってみると、「さりげないけど、優しくて上品」という織物の個性が立体的に表現された、とでもいうのでしょうか、きものそのものの良さと着る人の良さが、お互いに引き立てあい、うっとりとするようなきもの姿になりました。
「これは……」と思っていると、國さんが帯を合わせました。

同じく展示されていた、宮崎直美さんの半幅帯です。
これは桜を主体に糸染めし、横吉野という技法で織った半幅帯で、ヨモギの緑や、クチナシの黄、桜のピンク色がところどころに入ったおしゃれな帯です。

「うわ、さすが……」
木綿も、半幅帯も、普段きものの代表格です。
しかし、これはどちらも軽いパーティ着にまでいけそうな洗練されたおしゃれな感覚があります。色もばっちり。こんなマリアージュがあったとは……。
そうです「コーディネート」というより「マリアージュ」。フランス語で「結婚」、という意味があるそうですが、この取り合わせには、幸せ感が漂う「マリアージュ」ということばがぴったりだと思いました。

さあ、先月末に見せてくださった由美さまの装いをご紹介しましょう。

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きものの柄色にリンクする薄紫色の刺繍半衿を合わせ、さらにもうひとつのきものの柄色である緑色を帯留に配した、おしゃれな装いです。
これまでに何度もお召しになり、そのたびに半衿を替えておしゃれを楽しんでこられたそうです。帯は、少し長めに織られているので、いろいろな結び方ができるようです。作者宮崎直美さんは、ご自身もよくきものを着られる方なので、そんな配慮もうれしいところ。

「このきものは、自然な色と質感が気に入っています。着たときにふわっとした感じがするところが好きです。昨年の第2回熊本ゆかりの染織作家展で、堀絹子先生が講演されたときにも、これを着て行きました。その日は、義母の介護があって行けないかと思ったのですが、遅れてなんとか参加することができました。堀先生の人生の歩みを聞いて感動しました。その堀先生が、私のきもの姿もとても喜んでくださったので、ああ来てよかった、と思いました」

由美さまはこう語ってくださいました。
その後、由美さまと私はイタリアン・ランチをご一緒しました。
テーブルの向こうに見える由美さまのきもの姿は、本当にすてき。
織物の良さと、人柄の良さが「マリアージュ」して、相対している私をも幸せな気持ちにさせてくれました。

「由美さま、きもの姿って、人を幸せな気持ちにさせるのですね」
私が思わず申し上げると、元教師の由美さまは、
「人のためって、いうのが私弱いのよね。個性心理学では『ひつじ』だから……」
「それなら、今後、NPOの合言葉である月に一度ではなくて、週に一度。いえ、外出のときはいつもきもの姿でお願いします!」
と、ずうずうしく申し上げたら、素直な由美さま。その週末に行われた催しにきもの姿で参加され、一万歩も歩かれたけれど、ちっともお疲れにならなかった、というメールが届きました。すてき!


毎回、「今回はコンパクトにまとめなければ…」と思いながら、ついつい熱が入って長くなり、申し訳ありません。
「熊本ゆかりの染織作家展」で旅立った作品は、持ち主の宝となり、さらには回りの人を幸せにするという役割を演じています。なんとステキなことでしょう。

「第3回 熊本ゆかりの染織作家展」は来年1月2日〜6日まで。
あと3か月です。
その間、和の國では百周年と出版記念のパーティなど、さまざまなイベントが目白押しですが、「熊ゆ展」も、ぜひぜひご予定に入れておいてくださいますよう、お願いいたします。


熊本ゆかりの染織作家展 
実行委員長 安達絵里子