熊本ゆかりの染織作家だより

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熊本ゆかり便り-2月

和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。早いもので、「熊本ゆかり便り」を始めて丸一年がたちました。
来年のお正月に開催予定の「第4回 熊本ゆかりの染織作家展」まで、また毎月この時期にレポートを続けてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、今年前半は、先日行われました「第3回熊本ゆかりの染織作家展」に出品されました作品をご紹介してまいりたいと思います。
お越しになれなかった方はここでご鑑賞いただき、またすでにご覧になっていらっしゃる方には、新たな「和の國コーディネート」をご覧に入れますので、お付き合いくださいますようお願いいたします。

それでは早速、初回を飾りますのが「進化する織のアーティスト」とお呼びしている
吉田美保子さんです。パチパチパチ!

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写真は昨年から吉田美保子さんが挑戦し続けている八寸帯です。
タイトルは「ブラック・パープル」。
ご存知のとおり、九寸帯は両端に縫い代をとって仕立てますが、八寸帯の両端(耳)はそのまま仕立てますので、より簡便な締め心地であるだけでなく、「織の味」といったものを感じられるのも魅力のひとつです。
実際に吉田美保子さんはこれまで、かっちりした印象のお太鼓姿になる九寸帯を織ってこられましたが、八寸帯を織るようになったきっかけは、耳部分を形成する緯糸の折り返しの美を好まれるきもの通の方から製作を頼まれたことだったそうです。

本作を詳細に見つめてみましょう。
セリシン(絹糸の表面に付いている膠質)を抜いた柔らかい絹糸と、あえてセリシンを残した張りがある固い絹糸を交ぜて織ったそうで、経糸と緯糸が交差する織り目に手織りならではの味わいがあり、心ひかれます。無作為のように見えて計算された地風は「締めやすさ」バツグンです。

そして色は、タイトル通り、黒と紫のグラデーション。
しゅっしゅっと竪に引かれた線が、全体に横段を構成しています。
これは現代アートの世界で注目されている「すり込み絣」という技法によるもので、伝統的工法が機に掛ける前の糸染めの段階で絣糸を染めるのに対し、「すり込み絣」は機に経糸を掛けてから色をすり込んでいくという手法です。染め味に違いがありますが、「すり込み絣」が目指すのは、いかにアートの世界を染織のなかで描くかということ。

この作品をご覧になって、どんなことをお感じになるでしょうか。
沈黙と沈鬱、そして最高の洗練を語る黒と、穏やかながらも高貴で孤高の気品を語る紫が織りなす朦朧とした混沌……

きゃー、カッコいい!
こう思った方は、きっと美意識の高いオシャレな方でしょう。

私は、この帯に一瞬たじろぎました。
なんと哲学的で、思索的なのか。
この帯は「何かを語っている」。……そんな思いにとらわれたのです。

これが現代アートというものなのでしょう。
抽象画を見る思いです。
一見して色の爆発に見える抽象画に、心を旅させてみると、思いもかけない境地に身を置いていることに気づくことがあります。

この帯は、一瞬にしてツボをとらえ「きゃー、カッコいい!」と思った方には、着る人の感性と美しさを引き立て、きもの姿にさらなる洗練を加えることでしょう。

私のように、思索に誘われた人は、新たな「きものの愉しみ」を発見することでしょう。
たとえば、春を迎えて桜の帯に身を包みながら幸せな思いになるのも、きもののおしゃれです。
しかし、アート感覚の帯で自身の美意識を鍛え、きものと色のコーディネーションに心を砕き、我が身の上で「思索を体感する」……これも、きもののおしゃれであることを改めて気づかせてくれる作品です。

こんな着方はおしゃれの先端を行く、現代アートの楽しみなのでしょう。
でも、この感覚には、どこか懐かしさがあります。
平安時代に、色を重ねることによって季節の花を思い描いて「襲色目」作り出した、平安貴族たちは、こんな当時の「現代アート」の思索にふけったすえに、あの「襲色目」を創造してきたのでしょう。

古くて新しい、おしゃれの創造を楽しめる無限の帯。
私はこの「ブラック・パープル」をひとことで説明するのに、こう表現したいと思います。

アート感覚を求めて、吉田さんはタイトルに英語やカタカナを多用されます。実際に「きもの姿で完成させるのは着る方自身。想像力を広げてお召しになってほしいと思っています。私はそのための素材作りをしているつもりです」と吉田さんは語ります。

ううむ。この吉田さんの「挑発」、いえ「創造」をどう受け止めましょうか。
受けて立つのは「和の國」。
和の國好みのコーディネートをご覧に入れましょう。

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帯をとくと眺め、おかみさんが真っ先に取り出されたのは、和の國でもお馴染みの菊池洋守さんの八丈織です。
ログウッドやカテキューなどの草木染料を用いて深々とした墨色に染め、立涌市松文を織り表した無地の織物です。

まさに上質と洗練を知る大人の取り合わせ。ブラックの共通項で静かに調和しつつも、帯のところどころに潜ませた赤みのある紫が個性を語ります。そうして白く抜けた部分が着姿に透明感と躍動感を与えてくれるようです。さすが……。

帯締めは、きりっと引き締め効果のあるオフホワイトを選びました。
帯あげは、今回初企画の、熊本の桜で染めた「熊本ゆかり」帯あげです。

吉田美保子作八寸帯「ブラック・パープル」¥198.000_(仕立て代・消費税込)
菊池洋守作八丈織きもの ¥698.000_(仕立て代・消費税込)
帯締め ¥15.000_(消費税込)
帯あげ ¥9.800_(消費税込)

ご希望の方は、どうぞ和の國までお問い合わせください。
あらかじめご連絡をいただければ、実物をご覧になれます。
吉田さんによれば、万一タッチの差で売れてしまった場合でも、ご注文をお受けいたします、とのことです。

それでは、また来月レポートいたします。
長文にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
安達絵里子

熊本ゆかり便り-新春号

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和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。毎月3日か4日あたりにおじゃましておりますが、今月は会期中であったため遅くなりました。

さて、國さんやミッキーさんが連日レポートしてくださったように、おかげさまで3回目の熊本ゆかりの染織作家展が6日(日)をもって無事終了いたしました。今回も、多くの方にご来場いただき、どうもありがとうございました。心より御礼申し上げます。

今回の特徴は、2点。開催時期を年末からお正月に移行したことと、作家ご本人による作品解説の時間を設けたことです。そのおかげで、会がますます充実したように思われました。

まず、お正月に開催しましたことで、帰省されている方にお越しいただけました。特に、ブログをご覧になって、関東から鹿児島に帰省された方が、新幹線を途中下車するかたちでお立ち寄りくださったと知った時には感激しました。

また、大阪から帰省された方がパーティ用にとおきものをお求めくださいましたが、大阪でのパーティで、ご出身の熊本の染織作家によるきものをお召しいただけるなんて、と思うと、これまた感激で、胸が熱くなる思いがしました。きっと大都会大阪で活躍されている美しいこの方を、故郷の熊本ゆかり作品が無言で支え、守ってくれることでしょう。

それから、作家ご本人による作品解説。この企画は大当たりでした。作品を拝見すれば、そのデザインや色彩、技法から、いろいろなことを感じ取ることができます。しかし、作者ご本人から話をお聞きすると、その見方がいっそう深まるような気がしました。

染料とする草木を採取しに山へ行く時にはマムシにも遭うので長靴に完全装備で出かけたりするとか、染料の染め付きをよくするため用いる呉汁(大豆のしぼり汁)の大豆は国産(北海道産)がいいように思うので選んでいるとか……。作品になってしまえば見えないものにも、本当に最高のものを求めて手抜きなく、慈しむように作品制作に取り組んでいらっしゃるのを知り、拝見した作品に対する思いが、より深くなりました。



「熊本ゆかりの染織作家展」。はじめに私が思いついたときには、1回でもさせていただければ、その夢はじゅうぶんかなえられたように思いました。しかし「和の國」のご支援や、作家の方々のご協力、そして何より買い支えてくださるお客さまのおかげで3回を迎えることができたのですが、今回3回目を迎えて、やはり継続することの意義を実感しました。

たかだか3年目ではあっても、毎年作品を拝見していると、それぞれの作家の方の新境地をみることで、作家の作風の変化を感じ取ることができます。そして、1年目、2年目に感じたこととは別の発見をする思いになったこともありました。

また、一方で、運営上の問題で改善したほうがいいと思われたところもありました。現時点では次回の詳細は決まっていないので、会期中の反省をもとに、よりよい会になるよう反映させたいと思います。皆さまにもご教示いただけましたら幸いですので、お気づきになられたことはご遠慮なく教えていただけますよう、お願い申し上げます。
月に1回掲載させていただいている「熊本ゆかり便り」は、今年も継続させていただきます。今年の前半は、お越しになれなかった方のために、本展に出品された作品の一部を、コーディネート付きでご紹介してゆきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。
安達絵里子

熊本ゆかり便り-12月

和の國ブログをご覧の皆さま、こんばんは。「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。年末年始が視界に入ってくる時期となり、年明け早々1月3日(木)〜6日(日)まで開催する「第3回熊本ゆかりの染織作家展」まで、あとひと月となりました。

和の國ブログでは、現在『着物生活二十年の國さんが伝授する「和」で幸福になる三十三箇条』で話題沸騰中ですが、その中にも「熊本ゆかり」が記載されているのをご存知でしょうか。名著の最後を締めくくる191ページあたりです! お手元にある方はぜひご確認くださいませ。

作家の方々は、展覧まで一カ月を切ろうとしている現在、着々と作品作りに励んでいらっしゃいます。今月は岡村美和さんを訪ね、出品予定作を見せていただきました。



岡村美和さんは、型染の帯や小袱紗、和紙の熨斗袋などの作品でお馴染みです。作品を通じて、岡村さんの美意識にはなんとなく触れていた気がしておりましたが、初めて訪れたご自宅は「岡村さんワールド」ともいうべき民藝に見出された美の宝庫で、うっかり長居をしてしまいました。

玄関前には蓮の花をほっこりと描いた暖簾作品が掛かり、入ると芹沢げ陲気鵑粒┐迎えてくれます。キョロキョロ見ると、城間栄喜さんの紅型作品や小代焼、インドの織物などが飾ってあります。美術館に展示してあるようなものが、さりげなく日常空間に位置し、生活を彩る……作家の高い美意識はこうして育まれるのだと、感動するとともに、私まで幸せな気持ちになるようでした。


岡村さん帯ちょい斜め

さて、お待ちかねの作品です!
今回お見せする作品は、今年の「県美展」にも出品された染め帯です。

紬地を絞りで括って、ザクロの実の皮と矢車附子(ヤシャブシ)の実で染めた黄唐茶色の横段を構成し、そこにリズミカルに葡萄とリスを型染しています。
「葡萄にリス」は、漆器や陶磁器、染織品などに古くから見られる取り合わせです。「武道に律す」という言葉の音に通じることから、武家に好まれた題材とも伝わる古典的な文様です。それが岡村さんの手にかかると、なんともかわいらしく新鮮に映ります。

文様と色調からお勧めの季節は秋。でも古典柄なので、工夫次第で袷の季節を通して締めることができます。きものは反対色で相性がよい藍色でも、地色と同系色の茶系でも、何でも合いそうです。

ここでは帯地をお太鼓の形に作って、無地調子の黒地紬に置いてみました。岡村さんとワイワイ相談しながら、葡萄の紫色と葉の緑に呼応した配色の帯締めを選び、帯あげは桜で染めた樺茶色無地を合わせました。岡村さんの帯以外は安達の私物ですが、今回の「熊本ゆかりの染織作家展」では、これに似た熊本の桜で染めた帯あげも出品されますので、会場ではぜひ桜の帯あげもご注目くださいませ。

コーディネートをあれこれ考えるのは楽しいですね。「熊本ゆかりの染織作家展」では、お越しになった方々とコーディネートの愉しみも語り合えたら……と願っております。

岡村さんは、この帯のほか、小袱紗や人気の祝儀袋などをご出品くださいます。また夏に重宝しそうな無地染めの麻帯も考えられていて、これから染められるのだとか。がんばれー、岡村さん!



今回の「熊本ゆかりの染織作家展」では、毎日作家の方どなたかにお越しいただく予定ですが、岡村さんは1月4日にご来場予定です。洋服姿もカッコいい岡村さんですが、私がよだれをたらしそうなほどうらやましい、ステキなご自身作の帯を締めて、きもの姿でいらっしゃる予定です。普段はなかなかお会いできない染織作家の方と、ご一緒にきものの話で盛り上がりましょう!

また詳細が決まりましたら、追ってご紹介してゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
熊本ゆかりの染織作家展 実行委員 安達絵里子

熊本ゆかり-11月号

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和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。早いものでもう11月。冬の気配も見えてきた今日この頃です。
「第3回熊本ゆかりの染織作家展」もあと2か月と迫ってまいりました。染織作家の皆さまも、現在次々と新作に取り組んでいらっしゃいます。

今月は、「熊本ゆかりの染織作家」のおひとりで、現在の熊本染織界をリードする堀絹子さんが現在開催されている「真弓工房 秋の染織展」をレポートいたします。
会場は、川尻にあります熊本市くまもと工芸会館。熊本市の広報誌や、会期前日に「熊本日日新聞」夕刊の一面「明日ナビ」で予告され、また初日にも同新聞社の取材があり、翌日にはカラーで紹介されていたので、注目されていた方も多いと思います。

国展や「熊本ゆかりの染織作家展」に出品された国宝クラスの見事なきものや、シャープな中に優しさを感じさせる縞の反物、新作の木綿着尺、白にほんのりと南天の薄茶をかけて白茶とした何にでも合いそうな無地の帯、さりげないおしゃれのポイントとなりそうな木綿の八寸帯……などなど。絹や木綿、羊毛など多様な素材を使いこなす堀さんですが、今年の注目は和紙から得た糸を用いた紙布(しふ)の帯です。さすがは堀さん!

紙の繊維を衣服に使う知恵は、江戸時代にも見られ、初めて聞くと「水に弱いのでは?」と思うのですが、これが案外強い繊維で、織物に絹物とはまた違う風趣を添えてくれます。染織家として確立されたものがありながら、常に新しい創造を試みる、その姿勢はみごとです。

「熊本ゆかりの染織作家展」では、きものや帯、ショールなど和装品に限定して紹介していますが、「真弓工房 秋の染織展」では洋服での提案も行っています。私などはそういったものもつい頭の中で、きものや帯にして考えてしまいますが、草木の色や手織りの味を洋服で味わうのも、最高のおしゃれだな、と思いました。洋服の本場、フランスでは、服地に手織りの伝統がほとんど残っていないと言われているからです。




堀さん 001

そのほか、ショールやテーブルセンターなどの小物も充実していました。
私が心惹かれたのは、売り物ではない藍木綿でした。それは会場を飾っていた花の花瓶敷きに用いられていました。色は藍と白だけ。吉野織のような立体感のある織組織で織られてあり、帯に欲しいくらいの質感……。

何ともいえない藍の美しい色で、端のほうの裏を返してみたら、鮮やかな藍色をしていました。そうして、別のところに、もっと色があせて、白に近づいてきている部分もありました。おそらく裏が元の色で、長年使っていらして、色が美しく変化しているのでしょう。これを退色というのかもしれません。でも、裏の色よりも、もっと深みがあり、包容力があり、心惹かれるいい色になっています。

堀さんにお尋ねしてみたら、倉敷で民藝運動の大家・外村吉之助氏のもとで修業していた40年前に織ったものだとか。それを「日常使いしているから日に当たって白っぽくなってしまったところもあって」と笑う堀さん。ここに染織の極意があるように思われました。

草木から色を得て、手織りされた織物の、なんと寿命が長いことか。そしてなんと美しく変化してゆくことか。
こんな染織品と一生を共にすることができれば、私は幸せだな、と思ったことでした。

そして、「見どころ」は堀さんご本人でもありました。その日お召しのおきものは、沖縄の宮平初子さんのところで修業されていた時代に織られたものだそうです。これも40年近くお召しになっているそうですが、抱き付いてしまいたい(!)ほど、素敵でした。帯ももちろんご自身の作です。

「熊本ゆかりの染織作家展」では、まだ詳細は未定ですが、作家の皆さまも交替で会場にいらっしゃる予定です。作家の皆さま方に接することができるのも、展覧の愉しみではないかと思います。予定が組めましたら、順次お知らせしてゆきますので、皆さまどうぞ足をお運びくださいますよう、お願いいたします。

・・・・・・・・・・・・

さて、ここで重大なお知らせです。
次回の「第3回熊本ゆかりの染織作家展」の会期日程が変更になりました。
2013年1月3日〜6日まで。
開始日が一日ずれ、縁起の良い「3」の数字の日から、賑々しくスタートすることになりました。お正月3が日からのスタートです。

熊本に帰省されている方はぜひ「熊本の底力」をご覧になって、熊本パワーを注入し、元気いっぱいで一年をスタートさせてくださいませ。
そして地元熊本にお住まいの方は、初詣の感覚で熊本が生んだ染織美の数々を堪能され、美しいものに囲まれた美しい一年をスタートさせてくださいませ。

精魂込めて作られたものには、パワーが宿ります。神社で聖なるパワーをいただくのと同様、「熊本ゆかりの染織品」たちは、見る人に心のパワーを授けてくれるでしょう!

熊本ゆかり10月号

和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。あっという間に袷の季節に突入しましたが、今年は熊本でも全国レベルのきものカレンダー(10月から袷)に従えそうで、ほっとしています。

とはいえ、まだまだ普段着レベルでは、木綿のひとえなどが快適な今日この頃。
熊本が誇る染織作家、堀絹子さんの木綿をお召しになった諸熊由美さまの、ステキなきもの姿をレポートさせていただきます。

由美さまは「日本女性の会 熊本県支部 支部長」というご立派なお立場の方であり、NPO法人きもの普及協会の会員でもいらっしゃいます。
由美さまと堀絹子さんの作品の出会いは、二年前に行われた第1回熊本ゆかりの染織作家展でした。私もその場におりましたので、よく覚えております。

半幅帯の結び方を確認するためにご来店された由美さまが、熊本ゆかり作品をひととおりご覧になっているときに、畳んであった堀さんの木綿作品を目に留められました。

その作品は、オフホワイト地に薄紫色と緑色の縞がさりげなく入った木綿織物でしたが、浮き織という、織り目にわずかな浮き部分があるために、さらりとした地風でありながらも手に取るとほんわかとした優しい感触がして、「実用ひと筋の木綿織物」とはどこか違う、上質さが漂っています。
和の國店主の國さんも「こんな凝った木綿の仕事をされるのは日本広しといえども、堀さんくらいでしょう」と、絶賛しています。

実際に羽織ってみると、「さりげないけど、優しくて上品」という織物の個性が立体的に表現された、とでもいうのでしょうか、きものそのものの良さと着る人の良さが、お互いに引き立てあい、うっとりとするようなきもの姿になりました。
「これは……」と思っていると、國さんが帯を合わせました。

同じく展示されていた、宮崎直美さんの半幅帯です。
これは桜を主体に糸染めし、横吉野という技法で織った半幅帯で、ヨモギの緑や、クチナシの黄、桜のピンク色がところどころに入ったおしゃれな帯です。

「うわ、さすが……」
木綿も、半幅帯も、普段きものの代表格です。
しかし、これはどちらも軽いパーティ着にまでいけそうな洗練されたおしゃれな感覚があります。色もばっちり。こんなマリアージュがあったとは……。
そうです「コーディネート」というより「マリアージュ」。フランス語で「結婚」、という意味があるそうですが、この取り合わせには、幸せ感が漂う「マリアージュ」ということばがぴったりだと思いました。

さあ、先月末に見せてくださった由美さまの装いをご紹介しましょう。

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きものの柄色にリンクする薄紫色の刺繍半衿を合わせ、さらにもうひとつのきものの柄色である緑色を帯留に配した、おしゃれな装いです。
これまでに何度もお召しになり、そのたびに半衿を替えておしゃれを楽しんでこられたそうです。帯は、少し長めに織られているので、いろいろな結び方ができるようです。作者宮崎直美さんは、ご自身もよくきものを着られる方なので、そんな配慮もうれしいところ。

「このきものは、自然な色と質感が気に入っています。着たときにふわっとした感じがするところが好きです。昨年の第2回熊本ゆかりの染織作家展で、堀絹子先生が講演されたときにも、これを着て行きました。その日は、義母の介護があって行けないかと思ったのですが、遅れてなんとか参加することができました。堀先生の人生の歩みを聞いて感動しました。その堀先生が、私のきもの姿もとても喜んでくださったので、ああ来てよかった、と思いました」

由美さまはこう語ってくださいました。
その後、由美さまと私はイタリアン・ランチをご一緒しました。
テーブルの向こうに見える由美さまのきもの姿は、本当にすてき。
織物の良さと、人柄の良さが「マリアージュ」して、相対している私をも幸せな気持ちにさせてくれました。

「由美さま、きもの姿って、人を幸せな気持ちにさせるのですね」
私が思わず申し上げると、元教師の由美さまは、
「人のためって、いうのが私弱いのよね。個性心理学では『ひつじ』だから……」
「それなら、今後、NPOの合言葉である月に一度ではなくて、週に一度。いえ、外出のときはいつもきもの姿でお願いします!」
と、ずうずうしく申し上げたら、素直な由美さま。その週末に行われた催しにきもの姿で参加され、一万歩も歩かれたけれど、ちっともお疲れにならなかった、というメールが届きました。すてき!


毎回、「今回はコンパクトにまとめなければ…」と思いながら、ついつい熱が入って長くなり、申し訳ありません。
「熊本ゆかりの染織作家展」で旅立った作品は、持ち主の宝となり、さらには回りの人を幸せにするという役割を演じています。なんとステキなことでしょう。

「第3回 熊本ゆかりの染織作家展」は来年1月2日〜6日まで。
あと3か月です。
その間、和の國では百周年と出版記念のパーティなど、さまざまなイベントが目白押しですが、「熊ゆ展」も、ぜひぜひご予定に入れておいてくださいますよう、お願いいたします。


熊本ゆかりの染織作家展 
実行委員長 安達絵里子

熊本ゆかりー長月号

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和の國ブログをご覧の皆さま、おはようございます。
月に一度おじゃましている、「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。
灼熱の熊本も9月に入って朝夕涼しくなり、そこここに秋が感じられるようになりました。

先月、私は帰省と仕事を兼ねた東京滞在中に、熊本が生んだ織のアーティスト・吉田美保子さんを訪ねました。
吉田さんは熊本の街中では初めてのお目見えとなった、一昨年の第1回「熊本ゆかりの染織作家展」で、カラフルな四角(スクエア)が魅力的な「スクエア・シリーズ」帯など出品してくださいました。
シンプルでありながらも、作家ものならではのセンスが効いた帯が、熊本でも人気を呼びました。

そして昨年の第2回では、きもののほかに、現代アートの分野で注目されている、刷り込み絣の面白みを追求した「ブラッシング・シリーズ」の帯を発表。
選び抜かれた色使いで、リズムと詩心を喚起させる作風が、より進化したように思われました。

そうです。「進化する織のアーティスト」!
古今東西の芸術を常に意識して展覧会へ精力的に赴き、自らの感性に磨きをかけている吉田さんは、職人というよりアーティスト。
温故知新で学んだ感覚が、彼女の美のフィルターを通して、染織作品として作り上げられます。

そのため、吉田さんの作品をお求めになるのは、従来の定番では飽き足らない、時代の先端をゆく方々。
写真家や、芸術理論や文学を専門とする大学の先生、出版関係者など、芸術には一家言ある、いわば「うるさ方」をも魅了してしまうのが、吉田さんの作風といえるでしょう。

そんな吉田さんの進境を探るようにと、「和の國」茨木氏の密命を受けて、工房のドアを叩いたのでした。(ちょっと大げさ……)
國さん絶賛の超整理された自宅兼工房の機には、八寸帯の糸がかかっていました。

この前作は、デザインに悩み抜いた末「売れないだろうけど、これをやらないと次に進めない」と決意して織り上げたそうですが、完成直後にいらしたお客様が気に入られ、すぐお嫁入りが決まったそうです。 

「進化する」吉田さんが現在取り組んでいるのは、きものなら「ひとえ」、帯なら「八寸」。
思えば、近年ひとえを5月から着る場合が多いなど、ひとえの着用時期が長くなってきており、袷と夏の薄物の間に、間に合わせで着るものではなくなってきています。
八寸帯についても、元はウールの普段着に合わせるために開発されたものですが、近年は洗練を極め、締めやすさと織物ならではの質感を楽しめるとして、人気が高まっています。

吉田さんの近作も、そんな需要に応えたもの。
写真左のきものは、国産繭の座繰糸を数種使い、ひとえでも着やすいようにハリのある地風に織られた「レモン・フィールド」。
存在を主張しないさりげない色調ながら、ほんのりと優しい気持ちになる紬で、着る方の個性を引き立ててくれそうなきものです。

写真左の帯は、八寸帯で「シトラス・シリーズ」の「シトラス・イエロー」。レモン色が着姿に活力を与えます。

写真右のきものは、「フィールド・オブ・クリーム」。
帯は「ブラッシング染め分けシリーズ」の新作で、まだ命名されていません。

これらは、価格未定で、来年1月2日〜6日まで開催予定の「熊本ゆかりの染織作家展」に出品予定ではあるものの、それまでに売れてしまう場合もあるとのことです。
「熊ゆ展まで待てない!」という方は、どうぞ和の國までお問い合わせくださいませ。

「熊本ゆかりの染織作家展」まであと4か月。
それまで吉田さんは、まだまだ新作を織り続けます。
「進化する」吉田さんが、どんな新境地を開いた作品を発表してくれるのか、楽しみです!

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熊本ゆかり便り-8月号

「和の國ブログ」をご覧のみなさま、こんにちは。来年1月2日から6日に開催予定の「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子でございます。
この「熊本ゆかり便り」は月に一度レポートさせていただいていますが、7月4日に岡村美和さんの帯をステキに着こなされたMさまをご紹介させていただいてから一ヶ月。梅雨から夏休みに入り、ロンドンオリンピックが開催されるなど、一ヶ月の間にいろいろありました。

我らが熊本といえば大雨による白川氾濫など、大きな災害に見舞われことが一番の痛手でした。どれほど多くの方が不安なひとときを過ごし、大切な方を失った悲しみに沈んだことでしょう。ここで改めて亡くなられた方のご冥福をお祈りし、また被災された方の心に寄り添いたいと思います。


このように自然の脅威は計り知れないものがありますが、その反面、多くの恵みを与えてくれることを私たちは知っています。さまざまな祈りの心を託して、今月は熊本の自然から得た美しくも神秘的な色相の帯あげをご紹介いたします。
そうです、5月3日の和の國ブログで予告させていただきました「熊本ゆかりオリジナル帯あげ」が染め上がったのです!市販ではなかなか見かけない草木染の帯あげ、しかも桜染。魅力はそれだけではありません。「熊本ゆかり」のテーマにのっとり、染料の桜は、熊本の桜です。豊かな自然を誇る山都地方の桜です。

桜といえば日本を代表する花。白にほのかな紅を含ませた桜の花びらの色は、桜色といって私たちの大好きな色であります。

しかし、染料としての桜は花びらではなく、樹皮や枝を煮出して得ます。その樹皮や枝の、どんなものでもいいかといえばそうではなくて、開花前、まだ固くつぼみを閉じている時期のものが最適です。つまり、樹の内部で美しい花を咲かせる準備期間中の、その大事な時期です。桜の開花前に命の色をいただく神秘については、私が小学生の頃、国語の教科書に掲載されていましたので、ご存知の方も多いことと思います。

そして「桜切るバカ、梅切らぬバカ」ということわざがありますとおり、桜の剪定はそう多く行われることではありません。そうなると、ベストの時期に桜の樹皮や枝を手に入れるのはなかなかに難しいこと。
熊本を代表する染織家で、今回この帯あげを染めてくださった堀絹子先生も、桜は容易に手に入らないとおっしゃいます。こういうときはやはり人の縁とでもいいますか、堀さんの染織に理解がある人を介して、桜をいただく機会を得たそうです。


その桜で「帯あげを染める」という報せを聞き、早速取材してまいりました。


桜の枝

染料となる桜の枝です。



桜版甕のぞき

煮出した染料に、帯揚げを入れて染めて行きますが、
写真は白生地を初めて浸して持ち上げたところです。
まさに、「桜版甕(かめ)のぞき」のようです。




生地は和の國でいつも取り扱っている最高級の帯あげ地。下ごしらえとして灰汁で2、30分ほど煮た後に色を染める作業に入ります。
煮出して濾した染料に下ごしらえをして湿った帯あげを入れて煮染めします。その後、染めを定着させるための作業「媒染」をするため、みょうばんを水に溶かした媒染液に浸します。
この工程を繰り返すことで色は濃く染まってゆき、作家の求める色が得られたときに作業が終了します。帯あげひとつにも、こんなに手が込んでいるものかと思いを新たにします。

染め上げられた帯あげは5点。媒染の仕方で2種の色相があります。ひとつは赤みがあり、もう片方は黄みを多く含んだ色合いになっています。明るい茶色――樺色の色相です。一見して地味に思える樺色ですが、手にとって眺めていると、なんとはなしに華やぎが見え隠れします。

これが桜の花の、命の色というのでしょう。芯に秘めた桜色の輝き……

もし自分が使うならどちらがいいかな、と役得さながらに吟味するのですが、いずれ劣らぬ魅力があり、私だったらどちらを選ぶか決められませんでした。こんなにステキなものを装いの脇役として帯あげに使うのはもったいないくらいですが、素晴らしい脇役あってこそ引き立つ全身の美しさ。草木染の帯あげは、5月にお話しましたとおり、自らの美しさを宿しながらも、けっして主張しすぎず、きものと帯をつなぐ奥ゆかしい役割を演じてくれます。(むむ、自分自身もそうあらねば、とつい思ってしまいます)

この帯あげは、現在和の國にてお預かりし、次回の「熊本ゆかりの染織作家展」にて初公開いたします。
価格は未定ですが特別価格で1万円前後、限定5枚です。
この美しさを皆様で共感できるその日を楽しみにしております!

最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました。
             熊本ゆかりの染織作家展 実行委員 安達絵里子

熊本ゆかり便り−文月

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「和の國ブログ」をご覧のみなさま、こんにちは。来年1月2日から6日に開催予定の「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子でございます。

今月は、「熊本ゆかりの染織作家展」の作品をステキに着こなしていらっしゃるMさまをレポートさせていただきます。Mさまは私(安達)より少し?ばかりお若いとお見受けしていますが、数多いきもの通を取材してきたなかでもMさまは、きものに対する美意識が抜きん出ていらっしゃるように思え、「私をお友達のひとりに加えてほしい…」とかねてより憧れていた方です。

Mさまは、一昨年の第1回「熊本ゆかりの染織作家展」では吉田美保子さんの「ピンクスクエア」と題されたしゃれた趣の九寸なごや帯を、そして第2回の前回では岡村美和さんの麻地藷版染めの帯をお求めくださいました。
6月も中旬にさしかかろうとする休日、Mさまはお茶の研究会の後に、取材のため「和の國」に立ち寄られました。


柳色とでもいいましょうか、白みを含んだ上品な薄黄緑色無地のひとえをお召しのMさま。甘すぎず辛すぎず、梅雨の季節にさわやかな目福を与えてくれるおきもの姿です。

きものは和の國でもお馴染みの芝崎重一さんの織物。槐(エンジュ)から色を得た糸で織り上げたもの。茶道をされていることもあり、繍いのひとつ紋を入れられていますが、色の濃淡で刺繍されていて、とてもおしゃれです。紋付の礼を尽くしながらも美しさへの心配りが感じられ、紋ひとつ拝見するだけでお召しになっている方の高い美意識がうかがわれます。

そんな奥ゆかしくも美しいきものを背景にして幸せそうな帯は、岡村美和さんの帯。生成りの麻地に、糸巻きや扇、反物を藷版で染め表しています。麻地の帯は、きものよりも着用時期が長く、この帯は一見して麻にも生紬のようにも映るので、ゆうに5月から9月まで締められそうです。藷版とはサツマイモを彫った版を用いて模様表現したものです。


型染は、柿渋で補強した型紙を切り抜いて染めるのが主流ですが、模様染めの源流・インド更紗には木版染めがあるし、ジャワ更紗といわれるインドネシアのバティックにもチャップと呼ばれる銅板染めがあります。
日本では、鍋島更紗に由来する佐賀の人間国宝・鈴田滋人さんが木版と型紙併用で作品制作をされています。

そんななかで、藷版は、型紙と木版ともまた違う、おおどかな味わいが特徴。
糸巻きや扇、反物といった模様も、民藝運動の功労者・芹沢けい介の作品でも馴染み深く、染織を好む者には親しみのある題材で、見ていて楽しく、また周囲の方との会話も広がりそうです。

そのうえ可愛らしさと洗練された美しさを併せ持つ岡村さんの色の諧調で表現されているのですから、もうたまりません。実は安達も会期中に拝見したときから、心惹かれておりました。

Mさまは型絵染がお好きで、すでに福島輝子さんの訪問着と、篠原晃子さんのおぼろ型の染め帯をきものワードローブに収めていらっしゃるとか。型絵染に通じていらっしゃるからこそ、この帯の素晴らしさをひと目で見抜かれたのでしょう。

「吉田さんの帯も、岡村さんの帯も、もう何回も締めました。岡村さんの帯の初おろしは、先日お能とお茶の文化交流のためにフランスへ十日間行ったときです。型絵染が好きで、この帯も色柄が気に入って購入しましたが、軽くてシワにならず、とても締めやすかったです」とMさま。

吉田さんの帯も、岡村さんの帯も、締めていると「後ろ姿で声を掛けられる」のだそうです。作家物の個性と、Mさまから発するオーラが、気持ちよく共鳴して、見る方に思わず「ステキですね」と声を掛けさせてしまうのでしょう。きもの姿は着る本人だけでなく、周囲の人を幸せしてしまう威力があるなあと改めて思いました。




さて、「和の國」最古参で、かつお茶歴が長く、お能のお稽古をされている目の肥えたMさまにとって、「熊本ゆかりの染織作家展」はどのように映ったのでしょうか。

「熊本にも、こんなに染織家の方がいらっしゃるのか、と新鮮な気持ちで拝見しました。吉田美保子さんは、知人の知人ですが、知り合いだからという縁ではなく、作品に心惹かれて求めました。岡村さんの帯もそうです。」

「私は茶道具も買うのですが、その場合、作者とお話させていただき、その人物を理解してから買うようにしています。きものも同じです。吉田さんと岡村さんの帯は作品そのものをまず気に入ったところから縁がありましたが、人柄に接する機会があるのはうれしいことですし、地元熊本の方の作品と思えば、また格別の喜びがあります。」

「地産地消といわれるように、熊本の染織作家の作品を、まず熊本の私たちが着て応援してゆきたいと思います。」




Mさまのお言葉に、私は感激して声も出ませんでした。
「熊本ゆかりの染織作家展」の真意を、主催者側からでなく、実際にきものをお召しになるお客さまからご指摘いただくとは……

かくなるうえは、「熊本ゆかり」のきものをお召しになった、きものファンで集まってランチ会でも…、と新たなる野望?が芽生えたのでした。

話が長くなりましたが、岡村美和さんが和紙に型染された熨斗袋は、和の國店舗で常時ご覧になれます(祝儀用400円、不祝儀用300円)。
また、和の國に近い熊本県伝統工芸館にて7月31日〜8月5日まで「岡村美和染布展」が企画されています。和の國にお立ち寄りのさいに、ぜひ足を伸ばされてくださいませ。

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熊本ゆかり便り-水無月号

「和の國ブログ」をご覧のみなさま、こんにちは。
「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子でございます。
月に一度の「熊本ゆかりの染織作家展」レポートをさせていただきます。

第3回「熊本ゆかりの染織作家展」の開催予定日が決まりました。
来年のお正月、2013年1月2日(水)から6日(日)です。
熊本にてお正月を過ごされる皆さま、熊本に帰省される皆さま、どうぞ初詣のお帰りに熊本城近くの「和の國」で開催される第3回「熊本ゆかりの染織作家展」を予定に入れてくださいませ。

新年早々おきものに身を包み、我が熊本の染織作家が創り上げたきものや帯を見る……なんと福々しいお正月の過ごし方でしょう!
幸先のよい一年のスタートになること、間違いなしです。

6月に入って間もない今日この頃。夏の薄物やゆかたを楽しむのはこれからだし、その後には秋が来て紅葉のコーディネートに心ときめかすのも大切。
来年のお正月なんて、だいぶ先のことに思われますが、いやいや、3回目の「熊本ゆかり」はもう始動しております!

染織作家の方々は、作品構想を練り、デザインをして、糸を選び、染めて、手織りする、あるいは生地を選んで染めの準備に取り掛かる、など、もうスタートを切っていらっしゃるのです。
手間のかかる作品製作には構想から仕上がりまで、半年以上に及ぶものもあります。
そのように時間と手仕事を惜しみなくつぎ込んで製作されたきものや帯は、得難い魅力を内包し、それを身につける人を輝かせてくれる――そう思うと、本当に頭が下がる思いがします。



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そんななか、うれしいニュースをお知らせします。
第1回に参加してくださったものの、昨年の第2回では体調をくずされて参加できなかった黒木千穂子さんの作品がまた登場することになりました!

黒木千穂子さんは、菅原道真や平家一族の子孫が移り住んだという歴史がある山深い五家荘で染織をなさっている方です。
黒木さんのことは、亡き立松和平さんのルポルタージュ『染めと織りと祈り』に掲載されているので、ご存知の方の多いと思います。写真も本書を撮影したものです。
『染めと織りと祈り』(アスペクト刊2000年)より、244−245ページ

黒木さんは、雑誌「美しいキモノ」などでもお馴染みで現在福岡にお住まいの人気染織作家・甲木恵都子さんに師事され、草木染織の技術を修得されました。さらに甲木さんの師は人間国宝であった郡上の故宗廣力三氏です。
高校を卒業してすぐ師匠の甲木工房に住み込んで五年目に「教えることはもうありません」と師から卒業を告げられるまで、黙々と修業を続けた黒木さん。なまなかではできないことです。

そうして故郷の五家荘に戻り二十余年。近くの山で採れる植物を染料として、染織に取り組み、子育てをしつつきものや帯、小物を製作されています。

熊本の植物で糸を染め、自然豊かな五家荘で織り上げる黒木さんの作品は、まさに熊本の宝といえます。
しかし、その草木の色は、熊本という地域に限定するものではない日本の色。いえ、日本という国だけでなく、花や実、樹木の恵みを享受して生きる人の心をとらえる力があります。
宇宙のなかに我が身我が手のひらがあり、その手のひらのなかに宇宙が……そんな思いを抱かせてしまう黒木さんの草木染。自然のなかで生活し、草木との対話を経て引き出された色には、宇宙が宿るような魅力があります。

きものの目利きとして百戦錬磨である「和の國」茨木氏も、黒木さんの染織技術に一目を置き、称賛を惜しみません。
そんな黒木さんの作品が第3回「熊本ゆかりの染織作家展」で見られます。
「体調をくずして小物ばかり織っていましたが、今年はきものや帯を再開します」と語る黒木さん。ファンのひとりとして今年の新作を心待ちにしています。
熊本ゆかりの染織作家展実行委員 安達絵里子






追記(くにモン):
安達絵里子さんの熊本での頑張りが、つ・ついにひのき舞台に!(^^)!
「きものは語る」というテーマでご講演なさいます。
☆日 時:6月17日(日)午後1時半~3時半
☆場 所:富合公民館 研修室1・2
☆対 象:どなたでも、先着40名様
☆参加費:無料
☆内 容:きものから読み取れる社会情勢や人々の好み(流行)、日本人の価値観などきものの魅力、奥深さに触れます。

僕も聞きに行くよていですので、ご一緒しませんか・・・。
午後1時、和の國出発で、4名様までお車に乗れますよっ。


今日も、美しい一日でありますように・・・。!(^^)!

熊本ゆかり便り-5月号

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「和の國ブログ」をご覧のみなさま、こんにちは。「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子でございます。風薫る五月、瑞々しい新緑を背景に、きもの姿がいっそう映える好季節となりました。
来年のお正月早々に開催予定の「第3回 熊本ゆかりの染織作家展」へ向けて、少しずつ始動しておりますので、今回はそのご報告をしたいと思います。

先月、「熊本ゆかりの染織作家」のおひとり堀絹子さんを訪ねました。ちょうどきもの一枚分を織り上げたばかりというその日、製作に打ち込みすぎてお体がひと回り小さくなられたのではないかとも思われましたが、お気持ちは達成感に満ちて、おかげさまで「熊本ゆかり」の打ち合わせも充実したものになりました。

「熊本ゆかりの染織作家展」のために、今年もきものや帯を製作してくださるとのこと。心強く、うれしい限りです。

じゃーん! 発表いたします!



次回の「第3回 熊本ゆかりの染織作家展」では、「熊本ゆかり」オリジナル帯あげを製作することになりました!!!

なんと、草木染の帯あげです。しかも染料は熊本の植物から得ます。初回となる今回は、日本の美、春爛漫を象徴する「桜」です。山紫水明の熊本の大地に育った桜から得られる色を身につけることができるなんて、なんと幸せなことでしょう。
この企画は、「第2回 熊本ゆかりの染織作家展」終了後の、反省会兼昼食会で提案されたものです。「熊本ゆかり」作品が認められ、評価を受けてきている中で、より身近に楽しんでいただける案として浮上しました。

桜で染めた帯あげ、実は安達も所有しておりまして、これはなんとも便利で手放せないのです。
草木染の帯は、不思議と帯締めの色を選びます。「自然」な色調のため、一般的によく使われる化学染料で糸染めした帯締めだと、帯締め本体では美しくても、コーディネートするとどうしても相性がよくないのです。
私の乏しい個人的体験では、草木染の帯は白に近い薄い色の帯締めのほうが調和が取れ、帯色を引き立てるようです。
ところが草木染の帯あげは見える面積が小さいためか、万能で、どんな帯、きものにも難なくなじみ、調和します。どんな景色に草花を置いても違和感がないのと同じです。

抜群のコーディネート力で、しかも穏やかな深みのある美しい草木染の帯あげ。きもの姿に美しい色を添えるだけでなく、「熊本ゆかり」の物語性も加わり、「この帯あげはね……」と、心くすぐる楽しい話題をも提供してくれるのです。

その話に共感してくださったのが堀絹子さんです。
帯あげの生地に染めるのは、糸染めから行って一枚のきものを織り上げる堀さんにしてみれば、本業から少し離れるものではあります。
しかし、染織作家の方々は、しばしばご自身で帯あげや半衿、裾廻しなどを好みの色に染める場合があります。
プロの調理人の「まかない料理」にも、たとえられるでしょうか。いや乱暴かな。

ともあれ、堀さんが「第3回 熊本ゆかりの染織作家展」にきものや帯をご出品くださる一方で、オリジナル帯あげを製作してくださることになりました。そのため、数量限定で、数は少ないのですが、「熊本ゆかり」オリジナル帯あげが誕生します。「和の國」厳選の高級帯あげ地を使い、熊本に育った桜の色で染めます。価格はお求めになりやすいよう、一万円以下を目指しています。



今回の打ち合わせでは、木綿を愛する茨木氏の発案で、堀さんにきもの好きが喜ぶ木綿の八寸帯を織っていただく相談もいたしました。手になじみ、しっかりとした質感をもつ木綿の帯は、ゆるまず、張りのあるお太鼓を簡単に形作ることができます。

熊本を代表する染織作家・堀絹子さんと「和の國」好みのコラボレーション帯! 
今から楽しみです。
   熊本ゆかりの染織作家展 実行委員 安達絵里子

熊本ゆかり便り-卯月

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和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
月に一度の乱入をさせていただいている「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。
今年はいつまでも寒かったのですが、熊本では桜が盛りとなりました。
昨年末に行われた「第2回熊本ゆかりの染織作家展」以来、ひそかに待ち続けた桜の季節です。

そうです。なにを隠そう、その時に、私は溝口あけみさんの型絵染作品「桜」をお頒けいただいておりました。
和の國ブログ(2011年12月19日)で紹介させていただきましたので、覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

溝口さんといえば、大胆さもありながら繊細な優しさのある、豊かで洗練された色彩が魅力です。しかしこの作品は墨色のモノトーン。
「墨染めの桜」という印象です。あえてモノトーンにした理由は、溝口さんご本人によると、生地との対話によるものだということでした。
和の國でもお馴染みの芝崎重一さんが織られた白生地です。
そんな崇高なモノトーンの美しさを、私が着られるのか不安はありましたが、惚れてしまった者の弱みで、我が物としてしまいました。

初おろしは先日の3月27日。和の國さんのブログ(2011年3月27日)でもご紹介くださったように、「きもの友達」になっていただくことを志願している、美意識の高い先生を福岡からお迎えした日でありました。
桜がほころび始めた頃のこと。まだ寒い感じがしたのと、もうすぐ季節が変わって着られなくなる名残りの気持ちから、墨色の結城紬に合わせました。明るい地色のきものも考えられましたが、落ち着いた感じにしたかったので、モノトーンの取り合わせにしました。

帯締めは、白に薄ピンクと黄緑色を段ぼかしで組んだ配色で、わずかに春の彩りを加えました。製作元の「道明」さんが奥ゆかしい別の銘を付けていましたが、私は「柳桜」と呼んでいます。
この帯締めを見ていると「見わたせば柳桜をこきまぜて 都ぞ春の錦なりける」という和歌が思い出され、春ならではの美しさ、生命力を帯締め一本で味わえるからで、春になるとこればかり締めています。

帯あげは、クリーム色の無地。きものに雪輪が織り出されているので、きものの「雪」、帯の「桜」とくれば、安易な発想ながらも「雪月花」となるよう「月」が欲しくなります。
月の色に見立てて、黄みのある帯あげを選びました。きものは、こんな「うふふ」の楽しみ、物語性を織り込めるところが面白いですね。
写真は着用後に静物撮影したものです。


さて、溝口さんの「桜」の帯。ひとことでいえば「感動しました」。
型絵染作家の方は、全通で柄付けをなさいます。つまり着てしまえば見えない部分まで桜が染められているのです。
「商品」としては、前とお太鼓部分にあれば、充分魅力的な帯なのですが、帯丈いっぱいに柄が染められているとは、なんと贅沢。

しかし、つくづくと見ていて分かりました。
作家の「全通」にはリズムがあります。
染めの段階ではおそらく苦労もあったのでしょうが、仕上がってしまえば、リズムが感じられる楽しい帯になります。
帯の端から端まで、作家が心をこめて染めた帯は、その分だけ「思い」が宿り、それを身に着けると、頼りない我が身が支えられているような気持ちになります。

ありがとう、溝口さん。溝口さんに支えられ、この帯の美しさに支えられ、私の心まで美しく染められるようでした。


ところで、私が「墨染めの桜」と呼んでいた桜の帯。
締めてみれば、モノトーンながら華やぎがあり、愛称変更を考えるまでになりました。
同行した福岡の先生も、「作品として見るより、締めているほうがはるかに素敵。作家の方は、それを計算に入れてデザインされるのですね」と感心しきりでした。

モノトーンながら、溝口さんならではの豊かな色彩を感じさせる……。
「墨に百彩あり」―― 水墨画で言われる境地を思い出しました。
やはり、着てみてこそ分かることって、あるのですねえ。

今回も、安達の個人的「熊本ゆかり」体験話で失礼いたしました。
第3回の「熊本ゆかりの染織作家展」に向けて、少しずつ動き出そうとしています。
来月は、そのご報告とお知らせをしたいと思います。
どうもありがとうございました。
 熊本ゆかりの染織作家展 実行委員 安達絵里子

熊本ゆかり便り

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和の國ファミリーのみなさま、こんばんは。
菜種梅雨みたいな雨となりました。
お変わりございませんでしょうか・・・?

本店のある菊池では「初市」と言って毎年3月1日・2日の両日が歩行者天国となり、植木市など開催されるのですが、あいにくの雨模様なので、通りも少なかったみたいです。
そんな中、メールを開けると、熊本ゆかりの安達絵里子さんより暖かいメールが届いていました。
お付き合いくださいませ。




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「和の國」ブログをご覧の皆さま、こんにちは。「熊本ゆかりの染織作家展」運営委員の安達絵里子です。
月に一度のブログ参加ということで、再びの登場です。どうぞよろしくお願いいたします。
ところで、先月下旬に発行された『美しいキモノ』春号。先日の「和の國」ブログで紹介されていますように、熊本県伝統工芸館で恒例だった「染織工芸作家展」が次回は東京で開催されるという記事が掲載されていますので、ご覧になった方も多いことと思います。

今回の『美しいキモノ』は「お誂えの楽しみ」という特集が目玉ですが、なんと、そこの末席に、恐れ多くも安達も登場しております。(美しいキモノ春号、P249)
ものの弾みというのは恐ろしいもので、「熊本ゆかりの染織作家」のおひとりで、「お誂え」を制作の軸のひとつにされている吉田美保子さんについて「営業」をしましたら、吉田さんの最近の作ということで、私に織ってくださった「Good morning, Koh!」が掲載されたのです。
ベテラン編集者が完璧にまとめてくださっているので、これをご覧いただければ何も申し上げることもありません。

しかし、一見特殊な形に思える「お誂え」が「熊本ゆかりの染織作家展」の「楽しみ方」のひとつの形ではないかと思い、今月は「作家の方と二人三脚で作るお誂え」について「Good morning, Koh!」の製作時を振り返りながら、お話させていただこうと思います。



そもそも「Good morning, Koh!」は「熊本ゆかり」なしには生まれなかったきものでした。
吉田さんに出会った3年前から、「いつか私も吉田さんに織っていただきたいなあ」と漠然とした憧れがありました。
吉田さんほか、さまざまな熊本の染織作家の方々との出会いを重ねて、「熊本ゆかりの染織作家展」を熊本で開催したい、と思い至ったとき、まず相談したのが同年齢の吉田さんでした。
「熊本ゆかりの染織作家展に参加していただけませんか。吉田さんのお作品は、私が責任とって買いますから。」

今から思えば、心の広い吉田さんは私が作品買い取りの提示をしなくても、参加してくださったと思います。
しかも、吉田さんの作品を待つファンの方が列をなす中で、私の申し出はある意味「割り込み」とでもいうのか、吉田さんにはご迷惑だったかもしれません。でも吉田さんは、もっとうれしいことを言ってくださいました。
「それならどんなきものを作りましょうか。せっかく安達さんが着てくださるのなら、安達さんのイメージで作ります」
「ええっ、それって憧れの誂え!!!」
吉田さんが創作されたものを買い求めるのではなく、私のために創作してくださるとはなんとありがたいことでしょう。



というわけで、「お誂え」がスタートしたのでした。
人によって進め方は違うのでしょうが、たまたま東京で吉田さんとお目にかかるときに、ある高名な染織作家の個展を一緒に見に行きましたので、どんな作品が好きか、聞かれました。
そして水色とピンクという路線が見えてきました。私のほうは、資料として、所有している草木染の織物を着た写真何点かをカラーコピーして差し上げました。

いざ「お誂え」といっても、吉田さんのファンの方がこれまで注文されていたような「北イタリアのレモン畑にそよぐ風」や「モネの絵」など、明確なイメージを私は持っていませんでした。
制作するにあたり、吉田さんは「お誂え」の核になるイメージを求めていらっしゃったので、私の好きなもの、大切なものをひとつひとつ考えてみました。

音楽や絵画、きもの……好きなものを思いたどるなかで、行き着いたのが、仕事をさせていただける喜びと、家族の存在でした。
自分の命より大切で、いとしくてたまらない我が子、そして夫のいるありがたさ。
書籍製作をお手伝いさせていただき、その類まれな美意識に深い憧れと尊敬の念を抱いている池田重子さんがコーディネートの基本にされているのが「調和」でした。
家族と仕事と、大好きなもの……そんな大事なものが「調和」した美をみせる、それが「お誂え」で欲しいイメージだと帰着しました。

そんな抽象的な思いを吉田さんは受け止めてくださり、私の大好きなパッヘルベルのカノンの音とともに我が子が誕生した未明、すなわち朝焼けの空を家族3人で眺めているイメージで作品に取り組んでくださいました。



吉田さんの作品は「刷り込み絣」といって、現代アートで注目されている新しい経絣の手法を取り入れているのが特徴のひとつですが、朝焼けのイメージのために、刷り込み絣」を取りやめてまで、ひたすらに美しい色の調和を創出してくださいました。
毎朝朝焼けを見つめ、そしてパッヘルベルのカノンを聴いてイメージした創造の世界は、それはそれは美しい作品へと結実しました。

吉田さんの作品への取り組みはご自身のブログにも書いてくださっています。
この作品に初めて会したとき、私はそのあまりの美しさに息を呑み、そしてとまどいました。「こんな崇高なものを私は着られるのだろうか」と。
でも、可愛い我が子を抱くように、今の幸せに感謝しながら、「このきものを着こなせる私」になれるよう精神性を高めてゆきたいと思いました。

「Good morning, Koh!」は吉田さんが付けてくださったタイトルです。
さりげなくて、しゃれていて、でもなんと愛情にあふれたタイトルでしょう。着てしまえば見えないところに作品名を記してみたら、という吉田さんのアイディアをちょうだいして、そして「和の國」茨木さまに相談して、下前に刺繍を入れることにしました。
フランス刺繍をやっている実家の母に刺繍してもらったので、本格的な日本刺繍ではないし、期日もかかって「和の國」さまにはお手間を取らせましたが、本当に、私にとって「自分自身の人生観と大切なもの、すべてが詰まった」唯一無二の宝物となりました。

いつの日か我が子が大きくなって、私のもとを離れても、このきものは私の思いとともにずっと私の身に寄り添ってくれるのでしょう。
この作品を作ってくださった吉田美保子さん、そして機会を与えてくださり見守ってくださった「和の國」さまに感謝しています。



以前、私が取材した当時90歳の女性から、農村での子ども時代、母親や姉が糸を整え、きものを織り上げてくれた話をお聞きしたことがありました。
満足に材料が揃うこともなく、忙しい生活のなかにあっても、それは愛情がたっぷりこもった「お誂え」の原点だったのでしょう。
現代では、母親が子どものために糸から手作りすることはない時代になりました。

でも「お誂え」の世界には、そんな「オンリーワン」の精神が残っています。
吉田さんは、着る人との対話を大切にした、その人のためだけの「お誂え」を制作活動のひとつの柱とされています。
「熊本ゆかりの染織作家展」は、作家の方々の作品を鑑賞できるとともに、そんな「お誂え」の相談もできる場でもあります。
そこに「創作者」がいるからです。

もちろん作家の方によっては、作品制作のスケジュールなどによって、すぐに「お誂え」対応可能、というわけにはいかない場合もあります。
でも「語り合える場」が「熊本ゆかりの染織作家展」にある、というのは確かです。
着る側の心を作家の方に伝え、もしかしたらそれが新たな創作意欲につながる何かになるかもしれません。

そしてプロとしての「和の國」がそれをお手伝いします。
着る側と作家のそれぞれの「思い」を生かし「着るもの」としての製作を実現するプロデューサーがつけば、よりよいきものが製作できます。
なんだかセールストークめいてきましたが、現実の話としてお許しくださいませ。


ところで気になるお値段ですが、この2010年「第一回熊本ゆかりの染織作家展」に出品された「Good morning,Koh!」は「和の國」のお仕立て上がり価格で560,000円でした。
価格は使用する糸や染料、デザインによって変動があるとのこと。いずれにしても私に とっては簡単に動かせる額ではありませんが、それでも「お誂え」だからといってべらぼうに高価なわけではないということをお伝えしたく、ここにお知らせする次第です。
  熊本ゆかりの染織作家展 運営委員 安達絵里子

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いつもお付き合いくださり、誠にありがとうございます。
芳しい梅が咲き誇ってきました。
春が駆け足でやってきているような・・・そんな気がします。
僕もジョギングしようっと。!(^^)!

どうかお身体お大事に、日々美しくお過ごしくださいねっ。
南無・合掌 茨木國夫拝   090-3600-9495




締めのご挨拶(絵里子さん)

和の國ファミリーのみなさま、こんばんは。
いつもいつも和の國ブログをご覧くださり、誠にありがとうございます。
今日も、過日ご用命頂いた横浜の順子さまに、納品のことでご連絡させてもらったら、「ブログも毎日楽しく見ています。スタッフのみなさんのお人柄も分かる感じでいいですね。お友達にもお勧めしましたよぉ〜。」とのことでした。
全国に、和の國ブログファンが増えていくって、とってもありがたいことです。!(^^)!

実際、横浜は港南区におじさんが住んでいるので近い感じがしますが、実際距離にすると1300劼藁イ譴討い襪里任后でも全然遠い感じがしなく、僕の第二の故郷のような…そんな気がしています。
話は戻りますが、フェイスブックを書いたりしているので、ブログの投稿がおろそかになったり、それをいいことに言い訳をしていますが、そのような嬉しい話を聞くと、ホウレンソウを食べたポパイのようになって、「よし頑張ろう!(^^)!」という気になります。


とにかく、着物にかけた僕の人生は、一度っきりの人生です。
右見て左見て、そしてもう一度右見ても洋服姿ばかり。ゆえに僕の存在価値もあり、「NPO法人きもの普及協会」の担う大切な役割もあります。
着物をお求め頂くことも、とっても大事でありがたいことですが、その根底には、熊本〜日本が着物の似合う文化の街になるためにも、月に一度着物を着て頂くことが僕の夢でもあります。

そのためには、熊本の染織家と一緒に歩んでいくことも大切です。そんな夢の実現に向けて動き出しているライターの安達絵里子さんより、今回「熊本ゆかりの染織作家展」の締めのご挨拶文を、朝の4時21分にメールにて頂戴いたしましたのて、添付させていただきます。
ぜひ、お付き合い下さい。

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和の國ブログをご覧のみなさま、長のお付き合い、ありがとうございました。「熊本ゆかりの染織作家展」言いだしっぺの安達絵里子です。
このたび和の國店舗やブログに乱入して、いつもの和の國ファンの方には申し訳ないと思う一週間でした。
しかし、お越しくださる方から「ブログを読みました。安達さんですね」とあたたかく声をかけていただくことが多く、本当に有り難く、うれしく、「やはり熊本の方はあたたかいなあ」と実感した次第です。
この場をお借りしまして心より御礼申し上げます。

「熊本ゆかりの染織作家展」も二回目となり、連日会場に身を置いておりましたが、お香が漂い、調度品や花などに細心の配慮がなされた店内にて、熊本ゆかりの染織作家による作品に囲まれて、心豊かに満たされた数日間でした。
また、お越しくださった方とご一緒に、その作品を味わい、新たな魅力を発見できましたことも、幸せなことでした。

和の國さんは、国内を見渡しても最高級の品揃え、着るほどにきものの良さを堪能できるものですが、今回の「熊本ゆかりの染織作家展」では「隣人」の魅力的な作品が並び、身近に作家の方と語らえる楽しさがあったと思います。
熊本の素晴らしさを、大好きなきものでも体感できるのは、なんと心楽しくうれしいことでしょうと、改めて思い至りました。きものの懐の深さというか、きものにはこんな楽しみもあったのかと、作家の皆様とお話し、ご来場くださったお客さまとお話するにつけ、再認識する思いがしたのです。

どの作品も、身につけたいと思う魅力がありましたが、私個人は財政的理由から、迷惑をかけた夫にお座布団を、そして自分のために帯を一点購入させていただきました。
茨木さまのご理解と作家の方々のご協力により、第3回も企画されています。次回には「あの方の作品を」と、もうもくろんでいる我が身の欲にはあきれるばかりですが、継続して「熊本ゆかりの染織作家展」が行われる意義が、ここにもあるような気がします。

「お城に石垣、各地に点在する石橋、おいしい地下水、メロンやトマト、みかん、そしてイグサ、肥後あか牛にイルカウォッチング、阿蘇のカルデラ、今人気沸騰中の「くまもん」……愛すべき熊本自慢のなかで、熊本ゆかりの染織作家の方々のステキな作品を身にまとい、まずは皆さまと楽しく熊本を闊歩し、そして全国に、こんなきものの楽しみがあることを自慢したいなあ~」と、夢見ています。

最後に、きものの楽しみを与えてくださる熊本ゆかりの染織作家の方々、その素晴らしさを共感してくださったご来場の皆さま、そして作り手と着る人を引き合わせてくださる「和の國」茨木さまご夫妻、スタッフの鋤先さま、野田さまに心からの感謝を捧げます。
また次回もよろしくお願いします!     
 
マッチおっと、ライターの安達絵里子でした。(この一行は、くにモンが書きました、、、汗)




【くにモン再登場】
今日の画像は、「熊本の人が作ったきものを、熊本の人に」という着物の地産地消を唱える絵里子さんから頂き、お客様にお出ししたお菓子(フルーツゼリー)です。
熊本フランス菓子トワグリエさんは、「からだにやさしい自然派のお菓子作り」をテーマに、城南産イチゴ・八代産トマト・南阿蘇産ブルーベリー・河内産みかん・網田産ネーブルなど、熊本県産にこだわって、日夜美味しいお菓子作りに励まれています。

僕はこのお菓子の存在は知らなかったのですが、熊本大好き絵里子さんが百貨店で見つけてこられたもので、この会の定番菓子になってきたような・・・そんな気がいたしました。
やっぱり、熊本大好きだモン。
本当は、いろんなことやていく内に、だんだん好きになってきたモン。!(^^)!
いつもお付き合いくださり誠にありがとうございます。

明日・明後日と仕事納めの方もいらっしゃることと存じます。
「立つ鳥跡を濁さず」との格言もあります。
どうか、最後の最後まで美しいお仕事で平成23年度の幕が閉じますこと、心よりお祈り申し上げます。




【追記】
年明けは、何か新しいものを身につけると縁起がいいといいます。
もちろん、お着物や帯に袖を通すのも素敵ですが、身近なものとしては、足袋・半襟など純白なモノからスタートするのも一鴻、おっと一考かと存じます。
きものサロン和の國の、年内最終営業日は30日(金)。新春初売りは3日(火)お昼12時〜です。
きもののことなら、きもののプロの和の國に、どんなことでもお気軽にご相談下さい。
     くにモン携帯  090-3600-9495(24時間電話OK。今ならお試期間中!(^^)!) 


「熊本ゆかりの染織作家展」でお預かりしたお着物・帯などの値札を外したり、巻きなおしをしたりして、作家さん毎にお返しする用意を、今しがたまでやっていました。
当たり前のことでしょうが、やはり、お求め頂いた商品よりお返しする商品の方が多いのが現状です。
しんしんと冷え込み夜も更けてくるからか、、、作り手の方に「正直、申し訳ない。」という気持ちでいっぱいになりました。


また明日から気持ち入れ替え、初心に帰り頑張ります。
いつもお付き合いくださり、本当にありがとうございます。

熊ゆ展‐‐‐堀絹子さん

和の國ファミリーのみなさま、こんにちは。
ゆかり展二日目、今日は粛々とした一日と思いきや、たった今、活気が出て来ました。!(^^)!
次から次へ。
ふと井上陽水の「東へ西へ」を思い出しました。



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ライターの絵里子さん、
木枯らしの中、堀さんについても熱く語って頂きました。

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堀絹子さん                                  文・安達絵里子さん
熊本を代表する染織作家・堀絹子さんについては、先日の18日にNPOきもの普及協会でご本人による講演が行われ、19日には熊本随一の新聞「熊本日日新聞」にてカラーの記事が掲載されていますので、今さら安達が申し上げるまでもありません。
しかし私が勝手に「熊本の宝」と尊敬する堀絹子さんについて、ぜひここでご紹介させていただきたいと思います。

昨年、染織の道に入って40年を迎えた堀さんは、熊本県伝統工芸館で個展を開催されました。
修業時代の堀さんは、「民藝」の指導者・外村吉之助(とのむら きちのすけ)氏(倉敷民藝館、熊本国際民藝館初代館長)のもと、住み込みで「用の美」を学びます。その後、「染織の天国」である沖縄で宮平初子さん(後の人間国宝)のもとで絣技術を習得しました。

それでもまだ修業が足りないと思われた堀さんは、岩手に赴き、蟻川絋直先生から木綿や原毛を紡いで織るホームスパンを習得します。こうして絹、木綿、羊毛染織に関する糸作りから製織技術までを知悉するに至ります。

私が堀さんを「熊本の宝」に値すると申し上げているのは、その技術の高さだけではありません。今月23日まで熊本県伝統工芸館で行われている「日本の美 染・織の世界展」で熊本の染織作家の作品が展示されていますが、そこには堀さんが主宰する「真弓工房」出身者が何人もいらっしゃいます。
大変な思いをして習得した技術を、後進に伝える役割を担ってくださる堀さんのこんな一面もぜひご紹介したいと思います。

さて、そんな堀さんの作品の特徴をひと言で言うなら「織物のダイヤモンド」です。
繊維をダイヤモンドにたとえるのは、野生種の蚕「山繭」やカシミアなどの素材ですが、堀さんの織物、とくに絹織物のきもの地を手にとってご覧ください。質の良い糸が美しく染められ、織り上げられた、その地風は底光りがして角度によって輝くようであります。

それには理由があります。
国産の絹を使うのはもちろん、国産繭にも春繭、夏繭、秋繭とあるうち、春繭が「力と光がある」と見極めて、春に引いた絹糸を選んでいます。そして無農薬の稲藁を使って精錬という、糸の下ごしらえをします。
糸染めする植物は主に荒尾方面の山に求め、使用する水は熊本の水に「元気になるよう」水質を変えて、染色します。

そして方眼紙に詳細にデザインを設計し、織りの作業に入ります。
その工程は「苦しみの連続」だそうですが、このように手間隙かけた織物には生命が宿ります。
そんな「生命」を身にまとうことができるとは、なんと幸せなことでしょうか。

写真は今年の渾身作です。
小格子を段に構成した意匠は、能装束に由来するもので織物のなかでも最高級の格調があるものです。ところどころ織り組織を変えて表情を添えているのは写真では分かりにくいので、ぜひ会場にてご覧くださいませ。そのほか、気軽に装える木綿織物や帯もお見逃しなく。

「熊本ゆかりの染織作家」をご紹介するシリーズも今回で最終です。長のお付き合い、どうもありがとうございました。




【ここで、くにモン再登場】
堀さんが染めた糸・・・、光輝いていまーす。
織は人なり、糸も人なり。!(^^)!

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熊ゆ展---島澄子さん

今日は、安達絵里子さんと辰巳幸男さんと和の國を10時に出発し、途中で吉田美保子さんを乗っけて、美保子さんの実の妹さんが嫁がれている芦北の「赤松館」に出かけてきました。
高速道路を使い約一時間、あっという間です。
国登録有形文化財藤崎家住宅=赤松館(せきしょうかん)では、この文化財を地元の皆さまと守ろうと「NPO赤松館保存会」を創設なさり、その会長ご夫妻にお出迎え頂き、お話をお聞きする事が出来ました。

明治時代に建てられた建築物、大正時代の打ち掛け(きもの)には唸らされ、イギリスで学んだ本格派カレーなどは、いつの間にかお代わりしていました。
僕は始めて耳にしたのですが、料理家の江上トミさんの生家だそうで、レンガ作りの料理場は当時の姿をそのまま残していました。

よくぞこのような建築物が、壊される事無く残ったな〜と思います。実際、僕の実家は菊池ですが、古い建物はド保存が大変でどんどん壊されてきたのを目の当たりしにいるので、余計に残っていることと、次の世代に継承なさろうとしていることは素晴らしい事だと思いました。
また、マロさんがここでバイオリンの演奏を過日なさっていたそうですが、やっとその話とこの場所とが結びつきました。!(^^)!


そうそう、今日の熊本日日新聞の朝刊と、夕刊ご覧になりましたでしょうか・・・。
朝刊には「くらし」のページで過日、講演を頂いた染織家・堀絹子さんのこと。そして夕刊の3面には、SOMEORIの吉田美保子さんのことが、掲載されていました。
熊本日日新聞さんも、きものの染織家を、そして「熊本ゆかりの染織作家展」のことを書いてくださり、本当にありがたいです。(また、その記事は、水曜日にアップ予定です。)


さてお馴染み、「絵里子さんの染織家賛美歌コーナー」がやってまいりました。
今日は、今回初参加の島澄子さんです。
しばしお付き合いくださーーい。




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島澄子さん                            文・安達絵里子さん
島崎澄子さんは西部伝統工芸展や県美展にご出品されるので、熊本でもその作品をご覧になった方がいらっしゃるかもしれませんが、「熊本ゆかりの染織作家展」では初お目見えです。どうぞ楽しみにご来店くださいませ。

島崎澄子さんを語るには、師匠と、そのまた師匠から語りたいと思います。師は塩澤照彦さんという東京友禅で有名な方ですが、この方は本当に素晴らしい方で、「文化を日本に広めたい」というお気持ちから、弟の塩澤啓成さんと交代で26年前からわざわざ熊本に出向いて友禅染の指導をされています。

その塩澤照彦さんの師が、重要無形文化財(人間国宝)制度が始まった昭和30年(1955年)の年に、人間国宝に認定された中村勝馬さん(故人)です。東京友禅を牽引した偉人で、三大友禅といわれる京都や加賀に比べて、粋で洗練されたデザインが特徴です。

なかなか本題に入らなくて申し訳ないのですが、私が声を大にしてお伝えしたいのは、島崎さんは熊本の地で、そんな「美の巨人」たちの意を汲み、私たちの身近な地、熊本にて美しい友禅染を生み出されているということです。
「伝統」とか「文化の継承」とかありふれて聞こえる言葉を、実直に行動されているさまを目の当たりにするようです。

島崎さんは生地の下ごしらえから、地染め、糊置き、彩色、仕上げまで一貫して自宅工房にてひとりで作業しています。糊置き、という作業は、絵模様を描くときに隣の色がにじんでこないように防染するもので、作品には白い「糊糸目」として見えるものです。これは近代化のなかで、ゴム糊が使われることが多いのですが、島崎さんは、師から学んで昔ながらの糯糊(もちのり)を使います。これはもち米から作られたもので、細く均一な線が引きやすいゴム糊に比べて、ぽってりとやわらかく、あたたかみのある線が引けることが特徴です。

糯糊、ゴム糊の仕上がりは違うので、世の中には簡便さによるものだけでなく細密な表現のためにゴム糊をあえて使う場合があります。しかし「水の芸術」とよばれる友禅染。糊は彩色後に洗い流します。ゴム糊は水を汚してしまいますが、糯糊は自然に還ります。そんな視点からも糯糊を選ぶ師と島崎さんは、地下水で生活用水をまかなっている熊本においては、まさしく表彰状ものだと思うのです。
自然との共生あってこその仕事の営み。人の生きる道です。

そんな島崎さんの作風は、東京友禅の系譜を受け継ぐリズムを感じさせる瀟洒なデザインと、色数を抑えた洗練された色彩が特徴です。
師に学びつつ、詩心が感じられ、心惹かれる可愛らしさをも含んだ染め模様は、島崎さんならではの世界といえましょう。

写真は「語らい」と題された、訪問着の一部です。
星型で瑠璃色の花を咲かせるボリジというハーブをデザインしたものです。色の濃淡で、遠く近くにボリジが舞うような奥行きが表現され、身にまとえば花の精のような美しい立ち姿となることでしょう。




【ここから、くにモン再登場です。】
表現力・描写力冴え渡る絵里子さんの文章には、脱毛、おっと脱帽です。!(^^)!
島澄子さんの作品は、江戸友禅でありながら、加賀友禅風なお洒落な色の明度、そして美しい花が澄子マジックにかかって、見事に表現されています。まるで、グラデーションによる美しい花がワルツを踊っているかのようです。!(^^)!
美しく個性を演出したい方には、オススメの逸品でございます。

熊本ゆかりの染織作家展まで、あと1日・・・。
あと11時間後に始まります。
一緒に歌っていただけませんか・・・、「もうすぐお正月」の曲に載せて。


♪・・・・・♪・・・・・♪・・・・・♪・・・・・♪・・・・・♪
モーいくつ寝ると、染織作家展 
さ〜っつか展には、美しい〜 くまもと染織勢ぞろい
は〜やくう、こいこい作家展。!(^^)!

きものサロン和の國にて、お待ち申し上げまーーす。
いつもお付き合いくださり、誠にありがとうございます。
          きものサロン和の國 茨木國夫拝   090-3600-9495

熊ゆ展---溝口あけみさん

和の國ファミリーのみなさま、こんばんは。
いつもご覧いただき、誠にありがとうございます。
本題に入る前に僕の事ですが、数日前二日間ほど禁酒しました。
そして、和の國記念日の12月15日に希少価値の菊鹿ワイン・セレクション小伏野を飲んで、一つの決心をしました。

それは、「よおっしーーーーーーっ、一年間、禁酒しよう!!!!!!」ということです。!(^^)!
大好きなお酒を断つのは、メチャメチャ苦手です。
やはり、僕の一番の友なので、いつも「禁酒禁酒!!」と言いながら、いつの間にか飲み始め、それがあたりめ、いや当たり前となっています。

やることはたくさんあるのに、お酒を飲む理由を見つけては、正当化している自分がいます。
「お酒を止めれたら、もっと仕事が出来ていいな~。やりたいことも、たくさんなるのに・・・」と思うのですが、自分自身の誘惑に負け、なかなか禁酒が続かないのが現状です。
「断酒の理由」などと箇条書きにしてPCの横に張り出しても、時間と共に効果が薄れてきます。

そこで、僕なりに新発見です。
「一年間禁酒」って思えば、意志が強くなり、半年か3ケ月程は持つのかな~と思っています。
禁酒の理由は色々と理由づけするより、「とにかく一年間禁酒」が理由でも良いのかな~とも思っています。
また近々飲み始めるでしょうが、禁酒生活は夜な夜な僕を仕事へと誘ってくれます。!(^^)!

口上はその位で、ハイ。
お待たせいたしました、それでは溝口あけみさんの作品を、春風のような絵里子さんのタッチでどうぞ。



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☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆
溝口あけみさん                            文・安達絵里子さん
昨年、日本工芸会正会員になられた溝口あけみさんは、その作品が今年の『美しいキモノ』春号に掲載されるなど、全国区の型絵染作家ですが、熊本県伝統工芸館や、熊本県随一の「郷土のデパート」鶴屋百貨店などでの個展により、地元熊本でもよく知られたお方です。

きものライター安達が勝手に思う、溝口さんの作品の魅力は、「後光がさすように照り映える美しさ」です。作品を拝見していると、そこにスポットライトがあたるような感じで、染められた文様が気持ちよさそうに風に揺らいでいるように見えるのです。
これはあくまでも印象であって、ただの感想に過ぎないのですが、溝口さんをお話していて、すとんと腑に落ちる、というか納得した気持ちになりました。

型絵染が図案作成から型紙彫り、糊置き、染色まで、すべて一人で行うという技法であることは、先日ブログでも書いたとおりですが、溝口さんは、そのひとつひとつの工程をそれはそれは大切に丁寧に仕事をされます。
たとえば、紗張り。型紙を補強するために紗を張る作業なのですが、これは作品になってしまえば、決して見えないものです。それを溝口さんは、三重県伊勢から取り寄せた型紙用の柿渋和紙を用い、紗を接着させるのに昔ながらの漆を使っています。漆に似たカシューという合成樹脂塗料なら、作業はいくぶん簡略になります。
しかし、見えない工程こそ手を抜かない溝口さん。

モノはウソをつきません。手抜きなく丹念に作られたその作品には、おのずから格調が備わります。結城紬が美しいのは真綿糸を手で紡ぎ、昔ながらの地機でこつこつと織られる手仕事によるものであるからというのと同じように、本質を知り、素材や文様と語り合うようにして作られた溝口さんの作品には、神さまからのプレゼントのように、後光がさすような「ひかり」を帯びているのでしょう。

さて、今回の「熊本ゆかりの染織作家展」に出品された溝口さんの作品は帯2点です。ひとつめは「桜」。和の國でもお馴染みの染織作家・芝崎重一さんの白生地を使って桜を染めた帯です。座繰りの糸を用いた芝崎さんの貴重な生地を得て、その美しい地風に接し、これは色を使いたくない、と思ったそうです。それで夜桜、あるいは墨染めの桜、とでもいいたいようなモノトーンで仕上げました。着用時期は、もちろん3月から4月の桜の時期がぴったりですが、日本的なものが好まれる海外の方との交流やお正月など、TPOやコーディネートによって、装える機会は多いと思います。

もうひとつは、手織りの紬地に染めた「薊」。大胆にして繊細、という溝口さんの真骨頂が思われるデザインです。デザインをするときにはワクワクと楽しんでできたという、作り手の気持ちが伝わるような躍動感が伝わります。黒地の結城に締めようか、それとも幾何学模様の大島に合わせようか、と見ているほうも楽しく頭の中でコーディネートしてしまいます。

丁寧に作られたものを身につけると、それが我が身を守ってくれるような気持ちがします。「後光がさすような」溝口さんのきものや帯は、着る人を優しく守り、引き立ててくれると思います。きものっていいな、と有り難く思う瞬間です。




【ここから、くにモン再登場です。】
溝口あけみさんの作品は、エレガントです。大人の女性の香りがする・・・美麗な作品です。
特にこの桜の文様は、あえて淡彩仕上げになっているので、一見、誰の作品?って思うほどですが、そこがまたこの作品の神秘的な美しさを醸し出しているところです。
色が入っていない分、帯〆で楽しめ、色が単色な分、その色は、あなた様の色気で十二分にカバーできるのではないかと思っています。
あなた様のセンスで、素敵な花を咲かせて頂けたらとても嬉しいです。

熊本ゆかりの染織作家展まで、あと2日・・・。
明日は、和の國では「着付け教室」です。僕は、吉田美保子さん、安達絵里子さん、そして辰巳幸男さんと芦北郡田浦町の「赤松館」へ出かけてきます。
いつもお付き合いくださり、本当にありがとうございます。
                    きものサロン和の國 茨木國夫拝 090-3600-9495

熊ゆ展--宮崎直美さん

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和の國ファミリーのみなさま、こんばんは。
チョッと寒くなりましたね。
お変わりございませんでしょうか・・・?
僕は、絵里子さんに背中を押され、和の國ブログ毎日更新中です。!(^^)!

昨日は、絵文字講座に午前中行ってリフレッシュ。(画像参照下さい)
来年の年賀状がテーマでしたが、楽しいものでした。!(^^)!
そういえば、今上通り郵便局で後藤久美子先生の門下生の「はがき絵展」が開催されていて、僕もOB出品という形で出しています。
上手下手は別にして、楽しく絵筆を持つのも良いものでーーす。


さて今日は、パレアの和室で「着付け極意本」のビデオ撮影(午後6時~9時・着付け士:茨木ゆり)が先程終わり、夕食を済ませ、そして店に戻ってPCに向かっているところです。
昨晩は、書き物をしていて休んだのが3時位だったので、いま少しぽよよ〜んとしています。チト眠たいです。
でもそういった事言ってられません。

何故ならば、三日後は熊本ゆかりの染織作家展が始まるし、明日はNPO法人きもの普及協会主催で「この道一筋・染織家堀絹子氏講演会」がパレアであるからです。
そして、神奈川からは、かの吉田美保子さんが朝一で帰って来られ、お昼からは和の國で吉田美保子さんの取材も入っています。
そんなこんなで、おかげ様で日々充実、ファイトです。!(^^)!

さて、お馴染み「熊本ゆかりちゃん」は、今日は宮崎直美さんのご紹介です。
僕がうんちくを述べるより、筆が勝手に動くいや、飛び跳ねているような絵里子さんの文章をご覧下さい。




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宮崎直美さん                                       
宮崎さんの織られる帯は、ずばり「きものが好きな私たち女性が欲しいと思う魅力がある」ということが最大の特徴といっていいと思います。
宮崎さんの帯は、一見して地味で、誤解を恐れずに言えば、展覧会栄えしないものです。それは宮崎さんにとって帯は、芸術的な境地を目指す創作活動のために製作したものではなく、「私だったらこんな帯が欲しい」という、あくまでもきものを着る側の視点で創作が始まっているからです。
 
その証拠に、私は宮崎さんの帯を何点か持っているのですが、締めていると、ほめられる、というより、うらやましがられます。
「その帯、いいですねえ。私もこういうのが欲しい……」
東京にお住まいで、きもの界で超がつくほど有名な方にも「どなたが作った帯?私にも織っていただけるのかしら」と思わずつぶやかせてしまう、宮崎さんの帯です。

熊本市生まれの宮崎さんは、熊高(こちら地元では、「くまたか」と読みます)から熊大、という熊本きっての才女コースを歩まれました。学生時代からきものが大好きで、さまざまなきものを着て楽しんでこられたそうです。そして卒業後、仕事をする一方、「布」が好きな宮崎さんは、作るほうにも関心を抱くようになり、人からの紹介で、熊本の染織家・高光幸子さんに師事し、糸染から製織までひと通りの技術を学びました。草木染織については、斯界の第一人者であった山崎青樹さんの著作からも独学で学んだということです。
 
そうして「あこがれの志村ふくみさん(紬織の人間国宝)のきものは誰でも買えるものではないけれど、草木染の美しさを身近に味わっていただけたら」、という思いから、洋服姿の人にも楽しんでいただけるショールの製作を行い、島田美術館で個展を重ねてこられました。「風と光をはらんだような薄い織物を織りたいと思っていましたので、だいぶショールを織りました」と語る宮崎さんのショールは、期間中の後半にはほとんど品薄になるほど人気です。

宮崎さんが染料にするのは、桜、よもぎ、枇杷、栗、くちなし、ねずみもち、梅など、自宅の庭から得られた植物がほとんどで、足りないものを染料店で求める程度だそうです。地味なように見えて、つくづくと眺めていると色にも穏やかで奥の深い滋味というものがあるのだなあと、しみじみ思わせる宮崎さんの色です。

きもの通で、歌舞伎通。
昨年の「熊本ゆかりの染織作家展」で吉田美保子さんの講演を聞き、「私も吉田さんに織ってもらいたい」と口走り、周囲から「自分で織ればいいじゃない」とつっこみを入れられてしまった宮崎さん。今年は新作帯も発表します。このブログを書いている、今、最後の追い込みで頑張って織っておられます。ということで、できたてほやほやの新作は、どうぞ会場にてご覧ください!         

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お写真左が、染織家の宮崎直美さん、お写真右は、熊本ときものが大好きな兼業主婦の絵里子さんです。




【ここから、くにモン再登場です。】
僕は、宮崎直美さんと知りえたのは、絵里子さんからです。彼女がメガネ織りの名古屋帯をなさっているを見て、「ふ〜ん、熊本にもこういったしっかりした織物をなさる人がいらっしゃるのだな〜」と思っていて、島田美術館で個展をなさっている時にお邪魔しました。
いやぁ〜、美しかったです。桜で染めたショール。秋の時期の展示会だったでしょうか・・・。秋の陽光を浴びそのショールが、水面に太陽がキラキラと輝くように、こっちを見て微笑んでくれていました。

「きもの好き」が高じての染織の道とはお聞きしていましたが、ホント納得です。
着物が好きと云うのもですが、美しいもの、自然のモノ、そして四季折々の日本が本当にお好きなんだな〜と感じました。
謙虚で控えめながら、お目目まん丸の直美さんの作品、自然の美しさを形にした逸品と言えます。
僕もまだ見ぬ名古屋帯も、ショールも、とっても楽しみにしています。!(^^)!

熊本ゆかりの染織作家展まで、あと3日・・・。
明日は、堀絹子さんの講演会で一日がスタートします。
いつもお付き合いくださり、誠にありがとうございます。
                    きものサロン和の國 茨木國夫拝 090-3600-9495




熊ゆ展--岡村美和さん

和の國ファミリーのみなさま、こんばんは。くにモンこと、茨木國夫でございます。
チョッと寒くなりましたが、お変わりございませんでしょうか・・・?
今僕は、店でかみさんと仕事中!(^^)!
といっても、来週から「熊本ゆかりの染織作家展」が始まるので、その前準備で、しっかり整理整頓をやっています。
特に、皆さまにはシークレットの全面鏡の裏の整理整頓が最重要課題です。

おかげ様で、、平成16年12月15日に和の國がオープンしたので、昨日で丸7年が経ち、8年目を迎えます。
そこで初心に帰り、1)とにかく、使わないものは捨てる 2)使いやすい場所を生かす 3)物の居場所の再点検
この3つを中心に励んでいます。

もしや寒いかもと思って、作務衣に着替えた時、「腹巻き」をして臨んだら、お腹が石焼きイモみたいにホクホクしています。!(^^)!
外は寒いけど、ほっこりホクホク気分で、絵里子さんの文にお付き合い頂ければ有り難いです。



☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆
和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
「熊本ゆかり」の安達絵里子です。
このところハイ・ジャックならぬ「和の國ブログ・ジャック」めいた振る舞いをして、従来の「和の國ブログ」および國さんファンの方には申し訳ないと思う、今日この頃です。
本日も「熊本ゆかりの染織作家展」にご出品される作家の方をご紹介いたします。

岡村美和さま

岡村美和さんは型絵染の作家で、「熊本ゆかりの染織作家展」には型絵染の技法で染めた帯や風呂敷などの小物、そして和紙に摺った熨斗袋を発表されます。

型絵染は、型紙に描いた図案を切り抜き、そこに染料を摺り込んで、模様を表現する技法です。
近代になって新しく提唱されたもので、「型絵染」という言葉じたい、かの芹沢ケイ介氏が重要無形文化財(人間国宝)に指定されたときに、初めて使用されたということです。
それまでの伝統的な型染、たとえば型友禅や紅型、江戸小紋、ゆかたに染められる長板中型などの型付けの出来ばえを誇る職人仕事とは異なり、型絵染は、作者個人の創造性が求められる染め物です。
下絵から、型彫り、染色の工程をほぼ一人で行い、作者の造形力や色彩感覚が遺憾なく発揮されます。

前置きが長くなりましたが、岡村さんの作品はそんな作者の個性が伝わる型絵染の系譜を受け継ぐものです。
岡村美和さんの作品について、きものライターの安達にとって一番の魅力は「ネオ・クラシックな可愛らしさ」です。

題材に選ばれるのは、工芸品の文様によく見られるような古典的なモチーフでありながら、岡村さんの手にかかると、思わず微笑んでしまうような優しく可愛らしい造形となります。それが繰り返して型を染める、型絵染ならではのリズム感とあいまって、なんとも楽しい絵模様となるのです。
型紙を糊置きしてから色挿しをする作家が多いなかで、岡村さんは型紙から直接色挿しをされているそうですが、岡村さんの素朴でどこかプリミティブな力強さを感じるのは、そのあたりから来ているのかもしれません。

そしてその魅力を、いっそう輝かせるのが色です。厳選した生地に染められたとりどりの色のほとんどは、自宅の庭で採取した草木から得たものや、顔料を中心とした自然の色。とりわけ魅力的なのは顔料から得た「緑青色」で、この色の使い方といったら絶妙で、心憎いばかりに意匠全体の洗練度を高めています。
個人的には、この青みががった白緑の「緑青色」を岡村美和カラーと呼びたいのですが、掲載の写真以外の作品に見られるオレンジがかった桃色にも魅力があります。

岡村さんの帯は、どれもそんな遊び心と優しさがあり、無地感覚のきものに合わせて、帯を主役に装えるものです。季節は問いません。今年の県美展にも出品された写真の帯は、ヤシャブシ(カバノキ科の落葉高木)による絞り染めを併用した唐草模様の帯で、色柄とも秋らしい印象がありますが、型絵染ならではの詩心を楽しむのがこの帯のいちばんの身上です。帯締めや帯あげなど小物の配色で季節を語ることができますので、それもまた、きもののおしゃれの醍醐味でもあります。

ちなみに岡村さんの熨斗袋は、昨年実績では早々に完売となり、無理を申し上げて追加展示していただきました。全種類欲しくなってしまうような、遊び心と上品さの両方を兼ね備えていますので、こちらもご注目ください。

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【ここから、くにモン再登場です。】
お値段は、6枚セットのぽち袋が、¥1.000-。来年の干支のポストカード(左上)が¥350-となっています。全て手作業、本加工です。
もちろん、熨斗袋(祝儀袋)なども松・七宝などの新柄も多数入荷しています。やはり、こういったものに入れたりして、お正月やお祝いなど節目節目を祝いたいものですね。

岡村美和さんの作品は、手間暇を惜しず、季節感をも大事になさる感覚が僕は大好きです。普通、こういった小さいものは、手間暇がかかって、仕事とお値段が合わないので、一般的に染織家の方は避けて通ります。
しかし、美和さんは「お客様が喜んでいただくなら…。」と、「和紙に形絵染め」も、我が子を育てるように一つ一つ心を込めて作られます。
作品の大らかさ優しさ美しさは、美和さんのお人柄そのものです。

明日は、宮崎直美さんの登場です。お楽しみに!(^^)! 
熊本ゆかりの染織作家展まで、あと4日・・・。
                   きものサロン和の國 茨木國夫拝 090-3600-9495

熊ゆ展--吉田美保子さん

熊本ゆかりの染織作家展の企画立案者の安達絵里子さんは、半端じゃないです。
なんと、過日、「熊本ゆかりの染織作家」の方々をもっと広く知っていただくため、地元の熊本日日新聞に各作家を紹介する連載企画を持ち込まれました。
結局、その企画は通らなかったけど、別の形で結実し、後日、堀絹子さん、吉田美保子さんの取材が掲載される予定になりました。こちらは掲載されしだい、ブログでもご紹介してゆくつもりです。

本日ご紹介するのは、安達さんが新聞社に企画書を提出されるときに、参考資料としてお書きになった、吉田美保子さんに関する見本の文章です。この文章を書くために、特別に取材したものなので、今回のみ長文になります。お付き合いくださいませ。

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今日の画像は、2日連続の絵里子さん、バックは吉田美保子さん作「Good morning, KOH 」です。



★参考資料(本企画のために、見本として安達絵里子さんが1600字で書き下ろされたものです)

吉田美保子さん(SOMEORI)
熊本市生まれ。熊本県立済々黌高等学校卒業。東京造形大学美術科中退後、放送大学卒業。働きながら染織を始め、2003年に専業として独立。詩心を感じさせる作風は高く評価され、制作の日常をつづったブログでも人気を得ている。


本文/
桃色と水色のぼかし表現が美しい一枚のきもの。遠目には桃色に映るが、仔細に見ると、強いピンク色や、朱鷺色と呼ぶ淡いピンク色、ほのかにオレンジがかった糸が緯糸として複雑に入って色を成している。その名は「Good morning,KOH 」。
注文主の愛息の名が入ったタイトルで、吉田さんの作品には、いつも吉田さん自身の思いがこもったタイトルがつけられる。たとえば金峰山に実るみかん畑をイメージした帯には「シャインニング タンジェリン」、中世ヨーロッパの秋をイメージした帯には「プラハの石畳 初恋」など。

良質な糸を選び、草木染料を中心に時には化学染料を用いて本当に欲しい色を得る染め色の美しさはもちろんのこと、吉田さんはその作品イメージを言葉からも紡ぎ出して思いを込める。
「Good morning, KOH 」は、制作を依頼されたときに、どんなものを求められているか、実際に会ったりメールのやり取りをしたりする中で、導かれたという。依頼主の欲しているイメージをつかみ、それを染織で実現する――そのように依頼主と二人三脚で生み出してゆく作品は、制作の重要な柱のひとつであり、依頼主には唯一無二の物語性をもった宝物として喜ばれ、それが次なる挑戦への糧となる。

熊本市内に生まれ育った吉田さんは、小さいときから手を動かしてものを作ったりするのが好きだった。
幼稚園のとき、絵のクラスで紫と黄色で背景を描いたことがあったが、今から思えば奇異に思われそうなその配色を、先生がほめてくれた経験は忘れがたい。
その後東京の美術大学に入ったが、思うところあって2年で中退。残りの2年をヨーロッパ放浪に費やした。「ものを作ることを生きてゆく軸にしたいという思いがありましたが、始めから絶対に織りをやりたいという強い意志があったわけではないんです」と吉田さんは語る。

20代は迷いが多く、行く先々で壁にぶつかっては熊本に舞い戻ることが続いた。そんな紆余曲折の中で、軽い気持ちで習った草木染に心惹かれ、続いて大島紬の工房で織りを体験させてもらったことで、染織の面白さに目覚めて照準を合わせるようになった。そして大分県日田市の山奥でひとりきもの制作に打ち込む高野久仁子さんのもとに住み込んで3ヶ月間みっちり、絹糸の精練から草木染め、糊つけ、糸繰り、整経から機にあげるまで、すべて手作業で仕上げる一連の作業を学んだ。

現在、吉田さんは神奈川県大和市の住宅地に立つ自宅マンションで染織を行う。
誰もがきものを着ていた時代とは異なり、きものは高いといわれて簡単に売れるものではない。それでも2003年に独立して以来、染織で我が身の生計を立てている。余裕はなく、贅沢はできない。
しかし日々の制作や雑感を記したブログは好評で、そこから注文をいただいたり、銀座の呉服店に認められて個展を開催したりと、その作品は高く評価されている。

昨年は熊本市内で企画された「熊本ゆかりの染織作家展」によばれ、初めて故郷に錦を飾ることができた。
そのときは同級生や友人のほか、幼いころをよく知る母・博子さんの知人が多かったことが関係者を驚かせた。博子さんは吉田さんが幼いころから、熊本子ども劇場という子どもたちの情操を育てる活動に参加し続け、今でも人の輪の中で過ごされている。孤独な作業の中で注文主の心に寄り添い、イメージを描き出して創作する卓越した想像力は、ここに育まれたのだろうか。

「私の仕事は染めて織って織物を創るところまでです。仕立てて、帯合わせをしてお召しになって、きものとして完成させるのは着る人です」と語る吉田さんは、きものを着る人の大切なものまでも織り込んで、世界にひとつしかない夢のきものを創作し続けている。





【くにモンこと、茨木國夫より・・・】
濃い内容にお付き合いくださり、本当にありがとうございます。
美保子さんの着物・帯・小物などご覧になりに、どうぞ和の國までお越しくださいませ。
美保子さんは、今回の「熊本ゆかりの染織作家展」のために神奈川からはるばる故郷に帰ってこられます。
12月20日は美保子さんご本人もいらっしゃるので、お話できるチャンスですよ!

僕も美保子さんについて書きたい事がいっぱいありますが、絵里子さんがあれだけ濃く書いたら、僕はナメクジみたいになりまーーーす。!(^^)!

また明日以降は、いろんな染織家の方々のご紹介を順にご紹介させて頂きます。
そしてまた、気になる美保子さんの作品のご紹介も・・・。
そちらもまたお楽しみに。どうぞよろしくお願いいたします。
熊本ゆかり展まで、あと5日! 皆で盛り上げていきましょうねっ。 
                         きものサロン和の國 茨木國夫拝


「熊本ゆかりの染織作家展」に向けて…。

和の國ブログをご覧の皆さま。
初めまして。安達絵里子(写真右)と申します。
このたび代表のお許しをいただいて、ブログに参加させていただく栄に浴しております。
このお写真は、昨年の催事の一コマでございます。

私の本職は、きもの専門のフリーライターですが、12月20日(火)から25日(日)にかけて「和の國」に出勤させていただくことになりました。
12月20日(火)から25日(日)といえば「熊本ゆかりの染織作家展」。私はこの展覧会の「言いだしっぺ」でございます。おかげさまで今年で2回目を迎えることとなりました。どうぞよろしくお願いいたします。

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私事で恐縮ですが、私は約8年前に夫の仕事の都合で熊本に参りました。生後一ヶ月の子を抱え、初めて踏み入れた熊本の地。不安でいっぱいでした。そんな中、出会う熊本の方たちは皆さまお優しく、おしゃれでキレイで、緊張もだんだんほぐれてきました。
そうして「和の國」と出会い、「きもの友達」にも恵まれ、街のギャラリーなどで催される熊本の染織作家の個展を拝見する機会が増えました。

なんということでしょう! 
熊本は隣県のように、久留米絣とか博多織、佐賀錦、大島紬などのように有名な染織品の産地ではありませんが、洗練された美しい作品を生み出す作家を多く輩出していることに驚きました。
知らなかった……、こんなにステキなものを作る方が熊本にいらしたとは。
そこからの発想は、ライターのエゴでありますが、「こんなにステキなものを作っている人がいらっしゃるなんて、地元熊本でも知られていないのではないか。これを是非ともお知らせしなければ……」と思いました。



熊本城の美しい石垣を日常に見て生活している熊本の方は、歴史を感じさせる美しい街並みの中で審美眼を磨いているパリ市民と同じです。こんなステキな方々といっしょに、熊本の染織作家が作り出したステキな作品を着て、大好きな熊本の街を歩けたら、どんなに素晴らしいことだろう!と、夢はどんどん膨らみます。
まずは、染織作家の作品を一堂に会してみたい、そしてその会場は美術館などではなく、呉服店がいい、そう思いました。

確かに美術館での鑑賞に耐えうるものではあるけれど、「着るもの」としてとらえ、帯や小物をコーディネートしてご覧いただきたい、と考えました。
そして、会場はどこがいいかと考えて、真っ先に思いついたのが「和の國」さんでした。私は顧客といえるほどではありませんが、縁あって何点かのきものや帯などをいただいておりましたので、ご主人や女将さん、鋤先さんのお人柄に接し、高い美意識を感じさせる店内に感服しておりました。ここよりほかに、私の夢のような思い付きを実現してくれるところはないように思いました。
そこで、企画書を作成してアタックしましたところ、みごと昨年「熊本ゆかりの染織作家展」開催に結実したということです。



作家の方たちのご紹介については、また明日以降させていただく予定でおります。
どうぞ熊本が生んだ、センスあふれるきものや帯、ショールなどをご覧にいらしてくださいませ。
そして、よろしければ、ご一緒に「熊本ゆかり」のきものを着てお話しましょう!「熊本ゆかり」なんて、人の名前みたいですね。

どうぞよろしくお願いいたします。熊本へのラブレターのような企画ですが、熊本の方はもちろん、熊本にお住まいでない方も、どうぞお越しくださいませ。
作品レベルは高いので、きもの通の心をとらえる魅力的なラインナップとなっています。
なお、期間中は、前述のとおり、私も「にわか見習い店員」として会場にいる予定です。

反物巻きは昨年修業させていただいておりますので、どうぞご遠慮なくご用命くださいませ。
お茶をお出しする手つきはハラハラなさるかもしれませんが、先輩の鋤先さん、野田さんを見習ってがんばりたいと思いますので、どうぞおくつろぎくださいませ。
あなたさまのお越しをお待ちしております。
                   熊本大好ききものライター  安達絵里子





追記:(茨木國夫)
長文にお付き合いくださり、誠にありがとうございます。
絵里子さんは、美しいキモノのライターということはもとより、かの池田重子氏の著書のライターでもあります。
そのような方が、熊本の染織家をくまモン並みに有名にしたい。との一心で、熊本で地産地消と呼びかけられている第一人者でございます。
僕も背中を押されているのが実情ではありますが(笑)、企画書を作り、それを地元新聞に送り、取材依頼をお願いされているという八面六臂の活躍は、敬服の念と、僕たちも全力で頑張らなければという熱い思いにさせてもらっています。

その企画書からも参照にして、お一人お一人の作風など、6名様を順不同でこのブログで紹介させて頂く予定です。
日々楽しみに、お付き合いくださいますようお願い申し上げます。

やっぱり・・・道具!?

71cf82b4.jpgこんばんは。
月曜日のブログ担当、スタッフの吉田です。

昨日、美紀子さんが、「前結び教室」のことをご紹介していたのですが、
今日は、ご見学の方も含めてお教室が大盛況で…、とてもにぎやかに楽しい時間が続きました。

私、吉田もお手伝いをかねて、練習に参加したのですが、
本日の収穫は・・・!! とっても便利な【特選コーリンこしひも】です。

今まで、普通に腰紐を使っていたのですが、
なかなかピシッと着れずに、「腰紐の位置かな? 少し弱かったかな?」などと四苦八苦していましたが(単に練習不足ですが・・・)、
今日、この【特選コーリンこしひも】を使ってみたら、びっくり!

お着物がぴしっと決まって、衿あわせもはじめて自分で納得いく角度になりました!
こんな便利ですばらしいもの、私の為にあるようなもの! と大感激。

まぁ、着せつけの勉強をされている方に、着せていただくと、普通の腰紐でもぴしっと着せていただけるので、やっぱり、技術が間に合っていないだけなのは瞭然なのですが・・・それでも、うれしいものです!!

着付け教室や和裁などで、和服がだんだん身近になってくると、もっと和服に親しみたくなります。
それも、できれば「美しく」そして「楽しく」。
そんな思いに答えてくれる便利な「お道具」は、とても心強い味方ですよね。

これからも、楽しく、美しい和服姿(!?)を目指します。
長〜い目で・・・お見守り下さいませ。

今日は、この辺で・・・。

喜び創造部、吉田稀世でした。
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